6月の読書

6月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:2652

葉っぱの地図葉っぱの地図感想
物語は、ファンタジー、児童書の姿をしているが、この世で起きていることの雛型みたいだ。タイトルの「葉っぱの地図」という言葉を見たときには、可愛いタイトル、と思ったものだけれど、意味を知り、ぞっとする。だけど、別の意味もあるはず。植物の道しるべ、記されているのは、未来への希望。
読了日:06月28日 著者:ヤロー・タウンゼンド
ブルーノの問題ブルーノの問題感想
紛争下で日々命を脅かされる生活と、そういう危機からは遠くにいながら(いるために)狂気に近い苦しみに独り耐えること。迫害、虐待を受けながら、死ぬこともできずに生かされていること……。形を変えて語られる残酷な場面は、きっとどれも事実なのだ。それなのに、どの場面も静かでお伽話めいている。郷愁さえも感じるほど。
読了日:06月26日 著者:アレクサンダル・ヘモン
まだら模様の日々まだら模様の日々感想
体験したことは違うけれど、私にもこんな気持ちは覚えがあると、忘れかけていた事が、心の表面に浮かび上がってくるような感じだった。岩瀬成子さんの作品の中の少年少女たちの微妙な気持ちは、手にとるようにリアルだ。それは、こんなふうに、鮮明な記憶があるからだろうか。
読了日:06月23日 著者:岩瀬 成子
誰のための排除アート? 不寛容と自己責任論 (岩波ブックレット 1064)誰のための排除アート? 不寛容と自己責任論 (岩波ブックレット 1064)感想
排除ベンチ、排除アートというものが、いつ生まれ、どのように広まってきたのか。それは本当は何の(誰の)ためなのか。ホームレスを公共の場から排除するために、横になって休めるベンチを置かない。子どもの声がうるさいから、公園から子どもの遊具を撤去する。次は誰に牙をむけようかとひっそり考える街。住みやすいだろうか。
読了日:06月21日 著者:五十嵐 太郎
ドライブイン探訪 (単行本)ドライブイン探訪 (単行本)感想
ドライブインは一世を風靡したものの、徐々に消えて行った。「コンビニエンスストアになくてオートレストランにあるのは、この暗さだ」暗さは一概にマイナスなイメージではなかった。(私たちももちろん)徐々に老いていくことに感じる「不思議な落着き」と「侘しさ」だ。懐かしくて、明るくて、温かくて、少し寂しい。
読了日:06月18日 著者:橋本 倫史
イリノイ遠景近景 (ちくま文庫 ふ-54-2)イリノイ遠景近景 (ちくま文庫 ふ-54-2)感想
自分の住まう町の風景や暮しに始まり、アフリカ系アメリカ人や中国移民の子孫たち、ナチ後のユダヤ人、そして、インディアン保護区に暮らす工芸・芸術家たちの話など。飼い犬ポチの毛を梳きながら話しかける言葉、季節が夏から秋に変った瞬間のことなど、まだまだ読んでいたかった。
読了日:06月15日 著者:藤本 和子
葬儀を終えて (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)葬儀を終えて (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
作中、さりげなく繰り返されるいくつかの印象的なモチーフが楽しかった。個性的な人たちが集まって大きなカタマリになる。事件の解決は、カタマリがばらけて、ひとりとひとりたちであることに、気づかせてくれることでもあった。何もかもが終わった時に、ある人が漏らした「淑女のような……」という言葉が心に残っている。
読了日:06月13日 著者:アガサ・クリスティー
ひとっこひとりひとっこひとり感想
人と人との付き合いは、相手と面と向かい合うことばかりではないと思う。互いの顔をまっすぐ見るのではなく、二人横に並んで、同じ光景を見る。相手もまた何かしらのいびつさを抱えてなんとかやっている同士なのだ、と共感すること、それだけで、ちょっと気持ちが上向くような気がしないだろうか、お互いに。
読了日:06月11日 著者:東 直子
アンリくん、どうぶつ だいすきアンリくん、どうぶつ だいすき感想
他愛のないお話だけれど、こどもには、冒険の一日なのかもしれない。初めての体験で新しい出会いなのだから。ひと時ひと時がなんて尊いことか。ヴァージニア・カールの絵が、かわいい。ことに模様のように物語の周りを取り巻いている線路や動物たちは、このままマスキングテープになりそう。きっと買ってしまうと思う。
読了日:06月07日 著者:エディット・ヴァシュロン,ヴァージニア・カール
偶然の散歩偶然の散歩感想
散歩の折に見える景色はさまざま。ことに、同行の小さな子どもの仕草や言葉から、なんてたくさんの気づきを与えられることか。「静かさを言葉たちが支えている」とか、「数学は存在すらしないものについての科学」であるとか、どの言葉も開かれた言葉。だから、この散歩は心地いい。歩きやすい靴を履いて、外に出かけたくなる。
読了日:06月05日 著者:森田真生
ぼくのばしょなのにぼくのばしょなのに感想
自分の弟妹に出会うこと、受け入れることは、上の子にとって、それはそれは大変なことだと思う。どんなにククー坊やがパパとママのかけがえのない存在であることか、ページをめくるたびに、毛布たまごの奥深くまで、伝わってきて、こちらも、うれしくなってしまう。
読了日:06月01日 著者:刀根 里衣

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