『ウマと話すための7つのひみつ』 河田桟

 

ウマは、ウマ同志だけで通じる言葉「馬語」を話しているから、ヒトはウマの言葉がわからないし、ウマはヒトの言葉がわからないのだ。

「でも、ごくたまに、人のなかにも、
 馬語の半分くらいはわかるようになる
 こどもがいるみたいです」
 それはどんなこどもなのかな。


与那国島で馬とずっと暮らしている著者は、習い覚えた(?)馬語の一端を紹介してくれる。
馬は、耳や目、しっぽ、それから行動など全身で、言葉を伝えている。
だけど、誰もが、ウマに馬語で話しかけてもらえるわけではない。
では、ウマに話してもらうにはどうしたらいいのだろう。


これ、マリー・ホール・エッツの美しい絵本『わたしとあそんで』の女の子がみつけたことと、いっしょかなあ、と思ったら、なんだかうれしくなった。
『わたしとあそんで』は、「おはなし」だ。
でも、『ウマと話すための7つのひみつ』は、作者・河田桟さんの実際の体験に基づいている。
それなのに、いっしょ、というか通じ合うことが、不思議に思うし、同時にそれは当たり前、とも思う。どちらの本も、ごまかしのない「本当のこと」が書かれているのなら。


人の決まり事の中で暮らしていると、ときどき忘れてしまうのだけれど、だいじょうぶ。あなたにもわたしにも、ほんとうはゆっくりたっぷりの時間がある。それが、相手を大切にすることや居心地の良さに繋がっていく。
期待はするけれど、しすぎないようにしたい。そして、もしもあちらがこちらにちょっとでも心寄せてくれたら、それはどんなにうれしいだろう。
きっとこれ、馬と人との話、というだけではない。