『わたしのあくび みなかった?』 ビョン・ユジュン

 

ミリーは、寝る前にすべきことは全部すませたというのに、ねむれません。
ひとつだけやっていないことがあったから。それは、あくび。
「そうか! だからねむれないんだ。
 あくびをなくしちゃったせいよ!」
そこで、ミリーは、ぬいぐるみのミロをつれて、あくびをさがしにでかけます。
「ねないと、あしたが こないもん」


なんともかわいいお話だ。
犬のバークレイも、猫のモーリーも、鳩のダグラスだって、眠くて大きなあくびをしているのに、だれも、ミリーのあくびを見た人はいないのだ。
あんなに大きな口を開けて、大きなあくび。絵本をみているわたしのほうが、伝染して、ふわあっとあくびをしたくなってしまうのに、ミリーはさっぱり平気なのだから、ほんとに、なくしちゃったんだねえ。


もっと遠くへ、もっと遠くへ、とミリーはさがしにいきます。
気球に乗って、ヨットに乗って……ロケットに乗って宇宙までも探しに行くのです。
自由の女神も、モアイ像も……大きなあくび。それから、それから、大あくびをしているのは、あとだれだろうね。見事なあくびに笑って、ページを開くたびにこちらも負けずに大あくび。
そろそろ眠くなってきた。


ミリーが乗っていく気球の皮(?)も、ヨットの帆も、ロケットの模様も、ベッドの掛布団のパッチワークと同じ模様なのがなんともかわいい。
夜の部屋、夜のベッドは、きっと姿を変えて、どこにでも連れていってくれる乗り物になるのかもしれない。
(最後のページはすみずみまで眺めたい。そうだったの!と嬉しくなってしまうから)


ミリーはあくびをみつけたかな。
眠りたくない誰かさんが、絵本を見ながらあくびをこらえている姿が見えるようだ。
なんてかわいらしい♡