『私立探検家学園2 あなたが魔女になるまえに』 斉藤倫

 

私立探検家学園一年生(小学校なら五年生)の松田コロンたちの二度目の実習は一年目の終りごろにある。
一度目の実習と同様、ウエハースという不思議な乗り物で、グループごとに、どこかわからない場所に送られる。今回のミッションは「マンドラゴラをさがせ」
着いた場所は、中世ヨーロッパのどこかのようだけれど、私たちの歴史のなかでは、この町の存在はありえないのだ、ということがわかってくる。ここで、探検家学園の生徒たちは、思いもよらず、ある陰謀に巻き込まれる。


探検家学園の授業風景は相変わらず新鮮で、引き込まれる。
語学。さまざまな活発な発言の間に挟まって、ぽろりとこぼれる生徒のつぶやきに、はっとする。
「日本語って、やっぱりふしぎだなあって。ぐにゃぐにゃしてるよね」
「ぐにゃぐにゃ」という表現がいいなあ。
それはどういうことなのか、なぜそう思うのか、いろいろな意見が出てくるけれど、何よりも結論が出ないことが大切なのかもしれない。


その一方で、やはりこの学園は不思議。
一番不思議なのが実習で、一巻の最初の実習も、この巻の二回目の実習も、生徒たちが送り込まれた「世界」の異質さにうろたえる。
想像上の生き物、どこかにありそうなのに絶対あり得ない町、人びと……。
生徒たち自身、この体験はあり得ない、と感じている。
バーチャルな体験でもなさそう。


不思議以上に不気味と感じるのは、「わたしたちは、あるいみ、みんな、しんでもいい子たちなんだ」という、こういう言葉を生徒に言わせてしまうことだけれど……。


この学園の秘密を探り、明らかにしようとする生徒たちがちらほらと現れている。
それがわかれば、二度の実習先で出会った謎の人物の正体もわかるのかな。