4月の読書

2013年4月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:3695ページ

名医ポポタムの話―ショヴォー氏とルノー君のお話集〈3〉 (福音館文庫 物語)名医ポポタムの話―ショヴォー氏とルノー君のお話集〈3〉 (福音館文庫 物語)感想
奇想天外さのランクはかなり高い。そのせいかな、びっくりするレベルを通り越して、静かに受け入れてしまう。まるで先が読めないのも嬉しい。予想を必ず裏切ってくれるのもうれしい。どきどきするのに、妙にのどかで、ほんわかとおかしい。
読了日:4月28日 著者:レオポルド ショヴォー
四人の申し分なき重罪人 (ちくま文庫)四人の申し分なき重罪人 (ちくま文庫)感想
まるでスフィンクスに謎をかけられたようだ。行間には詩神が住まっている。思えば不思議な話であった。泥棒、藪医者、殺人者、そして反逆者。確かに重罪人。しかし、ラストシーンには、最大級の礼をして、幕の向こうに消えていく人々を見送りたい、と思ってしまうのだ。
読了日:4月25日 著者:G.K.チェスタトン
今日 (福音館の単行本)今日 (福音館の単行本)感想
子育ての場面だけではない。今だって、これからだって、掃除しないで一日を終えることもある。夕飯の支度に、動けないこともある。それでも、だれかに笑顔でありがとうと言われたこと、自分が誰かに感謝したことを思いだせる一日なら、今日の日は大切な一日だったと思おう。
読了日:4月23日 著者:
短篇で読むシチリア (大人の本棚)短篇で読むシチリア (大人の本棚)感想
暗い。でも耐えるというのとは違うような。もう諦めて開き直っている。開き直った所から別の図太いものが立ち上がりかけている、そんな感じ。シチリアの太陽はじりじりと照りつける。からりと明るいイタリアの太陽とはまるで違う。
読了日:4月22日 著者:
高慢と偏見、そして殺人〔ハヤカワ・ミステリ1865〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)高慢と偏見、そして殺人〔ハヤカワ・ミステリ1865〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
ミステリも面白いけど、作者による本家『高慢と偏見』の様々なシーンの(人の心の)謎解きの巧みさが楽しい。この本はきっとオースティンへの熱烈なラブ・レターだ。あのね一つだけ不満。なんで「あの人」が探偵じゃないんだ!! 
読了日:4月20日 著者:P・D・ジェイムズ
日本人は何を捨ててきたのか: 思想家・鶴見俊輔の肉声日本人は何を捨ててきたのか: 思想家・鶴見俊輔の肉声感想
樽、一番病、いい人。そして、敗北力という言葉が印象に残る。入れ墨をお化粧のように落とせるつもりでいる知識人のこと。個人である沖縄県知事の後ろに座る沢山の亡くなった人々のこと。心に残る言葉はたくさんある。難しかった。難しいけれど「悪人」の言葉はぐらつかない。だから、この本には、わたしのような読者をも大きく受け入れてくれる余裕があるのかもしれない、と思った。
読了日:4月19日 著者:鶴見 俊輔,関川 夏央
バウンド―纏足 (YA Dark)バウンド―纏足 (YA Dark)感想
儒教の国で強い女になってしまったら王子との結婚が大団円になるとは思えない。ラストどうするのか、と気になって。最後の一文、よかった。思えば包帯でぐるぐる巻きにしたのは女性の足だけではなかったのね。
読了日:4月17日 著者:ドナ・ジョー ナポリ
チボー家の人々 (10) (白水Uブックス (47))チボー家の人々 (10) (白水Uブックス (47))感想
モンルージュの会合でのジャックの演説は美しかった。清廉な理想に燃える潔癖すぎる彼。勢いを増す激流にいつまで逆らっていられるだろう。彼(彼ら)の恋も悲劇的な匂いがして、先を読むのが辛いのだ。
読了日:4月14日 著者:ロジェ・マルタン・デュ・ガール
村のエトランジェ (講談社文芸文庫)村のエトランジェ (講談社文芸文庫)感想
いろいろと起こる日常だけど、ちょっと醒めた語り手のせいか、現実離れした印象。額縁の向こうの風景を眺めているようだ。ジャンルとしてミステリであろがなかろうが、人が暮らすところには謎がつきものだなあ。
読了日:4月12日 著者:小沼 丹
祖母の手帖 (新潮クレスト・ブックス)祖母の手帖 (新潮クレスト・ブックス)感想
愛の遍歴の物語かと思った。空想と嘘の物語かとも思った。だけど、そうではなかったみたい。芸術が、文学が、人に何を為し得るのか…その驚きの物語だった。思いもしなかった澄み切った世界に導かれた。
読了日:4月11日 著者:ミレーナ アグス
女子の古本屋 (ちくま文庫)女子の古本屋 (ちくま文庫)感想
覚悟をもって古書店という生き方を選んだ女たち。店は彼女たちの生き方を反映する。この本は、女たちへの著者からのエール。しなやかに変化していくであろう店の名と場所とを手帳に控えた。
読了日:4月7日 著者:岡崎 武志
草祭草祭感想
切ないほどの懐かしさと不気味さが漂う。怖いけど引き込まれる。其町の異質な空気を感知するのはこの世の苦しみを深く知る人々だ。異世界に魅了されながら背を向けられる人の存在に、気持ちがふっと軽くなる。
読了日:4月4日 著者:恒川 光太郎
河・岸 (エクス・リブリス)河・岸 (エクス・リブリス)感想
陸上にも河の下にも属せず、怒りをくすぶらせ、一体どこに向かうのか。主人公だけではない。油坊鎮という村が、何一つ確かな物のない日常の波間に、沈んでいく巨大な魚のようだ。鱗のような怒りを身にまといながら。
読了日:4月3日 著者:蘇 童
それぞれの少女時代 (群像社ライブラリー)それぞれの少女時代 (群像社ライブラリー)感想
少女の世界にも旧ソ体制下の閉塞感が影を落とすが、彼女たちは独自の危なっかしい秩序を守ることに忙しい。残酷さ・惨めさは、一歩下がれば滑稽な笑い話。秘密めいた華やぎも。今はみんなきっと良い顔のおばさん。
読了日:4月1日 著者:リュドミラ ウリツカヤ

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