6月は、『二つの祖国』を読了できたことがうれしいです。ご紹介ありがとうございました。
おもしろかったのは『ミスター・ピップ』、『ミムス』でした。

6月の読書メーター
読んだ本の数:31冊
読んだページ数:9000ページ

ミムス―宮廷道化師 (Y.A.Books)ミムス―宮廷道化師 (Y.A.Books)
「上から見ようと、下から見ようと、中身は結局いっしょってわけだ」との言葉がよみがえってきます。地位も名誉もないけれど、サル塔のわらの上ですきっ腹を抱えた彼こそが王よりも王ではないでしょうか。
読了日:06月30日 著者:リリ タール
ひと月の夏 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)ひと月の夏 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)
一ヶ月ほどの限定された期間だからいいのかも。そして日常と切り離された特別な時間。特別な何かがあったというわけでもないけれど、あちこちに仕込まれた小さなモチーフが集まって忘れられない全体になっている。こんな珠玉の時間を持っていることは、ささやかに嬉しく切なくなります。
読了日:06月29日 著者:J.L. カー
螺旋螺旋
一冊の本が生まれる、ということは、それだけで大きな物語。最後のページを閉じるときは、登場人物たちと別れるのが淋しかった。彼らはこの本の続きの螺旋の中で、さらに冒険していくに違いない。日々の中には静かな冒険とかけがえのない物語が満ちている。彼らの続きの物語を思い浮かべています。
読了日:06月27日 著者:サンティアーゴ パハーレス
妖精物語 遙かな国の深い森で (海外Dピース)妖精物語 遙かな国の深い森で (海外Dピース)
遠い国の森の匂いがします。目を閉じたまま息を吸い込んだら、いつのまにか妖精の森に迷い込んでいるかもしれません。この絵本、このまま消えてしまうのでしょうか。せめて文章だけでも残すことはできないのでしょうか。あまりにも勿体無いです。
読了日:06月26日 著者:スザンナ・ロックハート (絵),朽木 祥 (文)
ティナの明日ティナの明日
誇らしい勝利も淡い恋も、ティナをとりまく閉塞感をいっそう際立たせるばかりのように思えて切なかったです。このような成長もある。でも、感じるのは、彼女の強さ、柔らかさ。いつか・・・いつか、彼女か、彼女の子どもたちが、もっと自由に夢を描き、その夢に向かって誰はばかることなく歩いていける、そんな日が来る。
読了日:06月25日 著者:アントニオ マルティネス=メンチェン
しずかな日々しずかな日々
なんでもない「しずかな日々」のかけがえのなさ。美しさ。まぶしさ。「しずかな日々」を手に入れることも、それを守ることも、実は、大きな意志の力が必要なのかもしれない。「人生は劇的ではない。」 そう思えることは、本当は、劇的なことかもしれない。
読了日:06月24日 著者:椰月 美智子
二つの祖国 第4巻 (新潮文庫 や 5-48)二つの祖国 第4巻 (新潮文庫 や 5-48)
フィクションだけど、フィクションとは限らない、と思うから、なおのこと辛い。辛いけど、たぶん、このような形で寸断されたものを受け継ぐのは、後の人間たちなのだろう。
読了日:06月23日 著者:山崎 豊子
ミスター・ピップ (EXLIBRIS)ミスター・ピップ (EXLIBRIS)
子どもたちが「切れ端」を持ち寄って、なくした物語を再構築していく場面が一番好きでした。真逆に見えるたくさんのものが出てきましたが、根っこは同じものでした。ミスター・ワッツの言う「誰にも奪えないもの」をそこに持っているかどうかの違いなのでした。いくつもの『大いなる遺産』に出会わせてもらったことに感謝。
読了日:06月23日 著者:ロイド ジョーンズ
こどものとも 年少版 2008年 03月号 [雑誌]こどものとも 年少版 2008年 03月号 [雑誌]
取るに足らないやつなんていないよ、みんなそれぞれ価値があるんだよ、なんてもんじゃないです。あなたは主役じゃないか。絵も色も、ゆっくりでシンプルなお話もしみじみいいな。うれしいな。
読了日:06月22日 著者:
元素生活 Wonderful Life With The ELEMENTS元素生活 Wonderful Life With The ELEMENTS
巻末の「スーパー元素周期表」だけでも一見の価値がありますね。ヘアスタイルや背景、服装、年齢などで表すのは元素の性質。着せ替え人形みたい!! 
読了日:06月22日 著者:寄藤 文平
小さいおうち小さいおうち
バートンの『ちいさいおうち』の物語を、もっと象徴的なものとして読むこともできるものなのだ、と知りました。この本『小さいおうち』の、「赤い屋根の家」はたぶん、ずっとずっと変わらずにあるもの。それが、イノセンスというものかもしれません。そして、変わっていく周りの景色は、この家の外で生きていく人々の人生のようでもありました。とてもよかったです。
読了日:06月21日 著者:中島 京子
二つの祖国 第3巻 (新潮文庫 や 5-47)二つの祖国 第3巻 (新潮文庫 や 5-47)
多くの醜い人々のなかで、燦然と輝くのは、国境を越えて、偏見を真っ向から撥ね付けてまっすぐに立つ人々。それは、数は少ないのですが、一巻にも二巻にも、そしてこの三巻にも出てきました。忘れられないあの人、この人。こういう存在が、賢治のような人々の勇気を鼓舞し続けます。決して楽な生き方ではないだろうに、彼らの勇気にただただ頭が下がります。
読了日:06月20日 著者:山崎 豊子
草野心平詩集 (ハルキ文庫)草野心平詩集 (ハルキ文庫)
殺されても倒されても、ひるまずたゆますやってくるかえるたち。その強さ、みっともなさ、悲しさ。好きだなあ、と思う。四十六歳で亡くなったおかあさんの最後の言葉は「きれいだねえ。」だったそうだ。その言葉が65年もの間、詩人の中で生き続けて、絶えず勇気を与え、生きたい・生きる、と思わせてくれた。詩人も詩人の母も凄い人だと思う。
読了日:06月18日 著者:草野 心平
びんの悪魔 (世界傑作童話シリーズ)びんの悪魔 (世界傑作童話シリーズ)
このびんは、一体何なのだろう。このびんの中の「小鬼」とは、いったい何のことなんのだろう。まるっこくて、首がすらりとしたびんの形は、なんとなく人間の姿に見えないこともないのです。ふと魔がさしたとき、目の前に、あのびんがふいに現れそうで、そうしたら、手を伸ばさないでいられるかどうか・・・
読了日:06月17日 著者:R・L・スティーブンソン
二つの祖国 第2巻 (新潮文庫 や 5-46)二つの祖国 第2巻 (新潮文庫 や 5-46)
天羽三兄弟。乱暴な言い方ですが、一点の曇りもなく自分の居所を主張できる忠や勇は、ある意味幸せなんじゃないか、とさえ思いました。二つの祖国の間で自分は何者なのか、深く悩まずにいられない賢治が一番痛々しい。戦争が終わった。でもまだ、この物語はやっと半分なのだ、と思うとすごく不安になります。
読了日:06月17日 著者:山崎 豊子
扉守(とびらもり)扉守(とびらもり)
この世と、この世でないところが、混ざり合って、絶妙なバランスをとって、独特の風情を生む潮の道という街。街がかもし出す風情はほんわかと優しいだけではなく、凄みを秘めています。この街に迷い、導かれてみたい。きっと駅に降り立った瞬間、空気の濃さも風のめぐりも、流れる時間も、ほかの街とは違うのだろう。
読了日:06月16日 著者:光原 百合
月曜日に来たふしぎな子 (岩波少年文庫 (104))月曜日に来たふしぎな子 (岩波少年文庫 (104))
どのお話からも、型にはまったきちんとした形をほんの少し壊すことで、広がる世界や深まる喜びなどが描かれているようです。楽しかった!どれも好きですが、「おばあさんと四つの音」が一番好き。おばあさんのさややかで幸福な暮らしにすっかりくつろいでしまいました。
読了日:06月14日 著者:ジェイムズ・リーブズ
今日は死ぬのにもってこいの日今日は死ぬのにもってこいの日
フランク・ハウエルの絵が素晴らしいです。どんなふうに生きたら、老いてこんな顔になれるのだろう。そんなふうに思いながら、この詩を味わっています。詩を読むというより、この絵の老人たちの知恵の言葉に耳を傾けているような気がします。「老年とは、雨が降らなくても 緑の丘がいかに豊かに見えたかを覚えていること それ以外の何ものでもないのだと」
読了日:06月12日 著者:ナンシー ウッド,フランク ハウエル
おやおや、おやさいおやおや、おやさい
「りっぱなパセリはつっぱしる」 おおっ、パセリ! がんばれ、パセリ〜〜!!
読了日:06月12日 著者:石津ちひろ
くだもの だもの (福音館の幼児絵本シリーズ)くだもの だもの (福音館の幼児絵本シリーズ)
おいしそうな果物に、あのお顔ったら。シュールで好きです。読んでるとどんどん楽しくなってくる語呂合わせ。うふふ、ご機嫌です。
読了日:06月12日 著者:石津 ちひろ
大いなる遺産 (下巻) (新潮文庫)大いなる遺産 (下巻) (新潮文庫)
誰からも愛される代わりに誰をも愛することができないように育つことと、誰からも愛されない代わりにたくさん愛することができるように育つことと、選べるとしたらどちらを選ぶか?という話があったような気がするけど、何の話だっただろう。読みながら、何度もこの問いかけが思い出されました。たくさんの個性的な人物の内、ミス・ハヴィシャムが一番印象に残ります。
読了日:06月11日 著者:ディケンズ
大いなる遺産 (上巻) (新潮文庫)大いなる遺産 (上巻) (新潮文庫)
ゆっくりの展開が時にまどろっこしいような気がしたけれど、思わぬところに伏線がありそうで、飛ばし読みもできず。でも、やっと乗ってきたところで、上巻おしまいです。ずるずると染まっていく主人公のこれからが気になるし、第一、あの遺産の怪しさったらありません。
読了日:06月10日 著者:ディケンズ
壜の中の手記 (角川文庫)壜の中の手記 (角川文庫)
怪奇で皮肉な物語なのですが、御伽噺のような雰囲気があるのです。どの話も、どこか遠い国(?)の、突拍子もない物語だからかもしれません。ブラックな笑いは苦手ですが、まさか!と驚く結末、おもしろかったです。 表題作は、途中の会話が可笑しくて楽しくて。ラストにはびっくりでしたが、急に宮沢賢治を読みたくなってきました^^
読了日:06月09日 著者:ジェラルド カーシュ
二つの祖国 第1巻 (新潮文庫 や 5-45)二つの祖国 第1巻 (新潮文庫 や 5-45)
祖国と仰ぐアメリカからも日本からも、背中を向けられた日系人たち、自分たちのアイデンティテイを求めて悩む人たちの苦しみを読むのは辛かったです。二つの国で教育を受け、先を見通す主人公賢治の孤独。彼と彼の同胞たちの行く末を見守りたいと思います。
読了日:06月09日 著者:山崎 豊子
風の靴風の靴
(再読)初夏の風に吹かれつつ、気持ちは、たちまち海の上に連れ出してもらった。この爽やかさを味わいたかったんだ〜。大好きな本だし、初読からまだそんなに時間がたったわけじゃないのに、かなり忘れていてびっくり。その分、何度も新鮮な気持ちで読書できるのだからラッキーだと思おう。海生とおじいちゃんの本棚から、未読の本を抜き出してメモしています。
読了日:06月07日 著者:朽木 祥
リトル・トリーリトル・トリー
(再読) 「母なる夜」を読んだことが再読のきっかけになりました。(ありがとうございました) やっぱり泣きました。この本に対する曖昧な気持ちが解消されたわけではないけれど、大好きな本であることを確認した読書でした。「今生も悪くなかったよ、リトル・トリー。次に生まれてくるときは、もっといいじゃろ。またあおうな」
読了日:06月06日 著者:フォレスト・カーター
母なる夜 (白水Uブックス (56))母なる夜 (白水Uブックス (56))
なんて皮肉な物語だろう。醒めた笑いは、あまりに弱くて悲しくて、おかしい。悪ってなんだろう、善ってなんだろう、普通ってなんだろう。人を裁くことは、自分が裁かれることなんだ、と感じました。彼の罪は? わたしは怖くて裁けない。
読了日:06月04日 著者:カート・ヴォネガット
六月のリレー六月のリレー
六月って、爽やかだけど、実は、天候不安定、春でも夏でもない微妙な月。一体彼らはなぜ、そんな格好をして、そんな走り方をしたのか。危なっかしかったり、はみ出していたり、きっとこれからはもっと大変。でも、それをしっかり引き受けようとする14歳の懸命さ、ひたむきさがまぶしく、ただ「走れ」と応援する。
読了日:06月04日 著者:伊沢 由美子,小泉 るみ子
シスタースパイダーシスタースパイダー
偏見や先入観を捨て去る。それがどんな結果になるかわからないけれど、彼らは、ちょっとだけ前に進むかもしれない。それが『ジェミーと走る夏』に繋がっていくように感じた。ほんとうにいつか何もかも変わるときがくるかもしれない。そのために、果敢に一歩を踏み出す若者たちがいい。
読了日:06月03日 著者:エイドリアン フォゲリン
絵本が目をさますとき絵本が目をさますとき
絵本を通して見えるのは、子どもと一緒に楽しんだ他ならぬ大人にとっての幸せな時間。懐かしい絵本を通した長谷川さんの語りかけに、その時々で、夢中になっていたときのわが子の姿がよみがえってくる。一冊一冊の絵本が、子の生きたアルバムのように思えてきます。今一緒に楽しめる子どもが傍にいないのはちょっとつまらない。
読了日:06月02日 著者:長谷川摂子
ザボンの花 (大人の本棚)ザボンの花 (大人の本棚)
生活の中で、やっと凌いできたこともあっただろうに。でも、ほんとに語るに足ることって、こういうなんでもない日々かもしれない。昨日も今日も、明日も、きっとこんなふうに毎日は続いていく。続いていきますように、と願う。でも、昨日も今日も、ほんとは少しずつ違う。訪れる喜びも悲しみも、驚きも、気づきも、少し違う。うんとじゃなくて、少し。その少しがかけがえがない。
読了日:06月02日 著者:庄野 潤三

読書メーター