『2ひきのかえる そのぼうきれ どうすんだ?』 クリス・ウォーメル

 

大きな池のまんなか、睡蓮の葉っぱの上で、二匹のカエルが会話している。
一匹がもう一匹にきく。「なんで また、そんな ぼうきれ かかえてるのさ?」
見れば、一匹のカエルが、自分の背丈よりも長い棒きれを抱えてすわっているではないか。
「こりゃ 犬よけぼうだ」と答えるカエルに、もう一匹は大笑い。こんな大きな池に、犬なんか来たことないし、来たとしても、池の真ん中までどうやってくるというのか、泳いでくるのか。そんなことを心配するよりも、警戒しなければならない事態はもっといろいろあるだろうに。例えば……というような話をしていると……


ページをめくるたびに、世の中、何が起こるかわからないものだ、と思う。笑いながら話していた二匹のカエルのもしもが、気持ちよいくらいに次々に現実になる。
ページを開くたびに変っていく急展開のドラマはカエルたちの目線で、なんとダイナミック。


背景は、池の青緑の水。広がりと底知れぬ深さを湛えて、涼し気だったり不気味に思えたり。
はたこうしろうさんの訳による、砕けた言葉で、ぽんぽんと飛び交うカエルの会話が落語みたいで楽しい。


もうおしまい、と思っても、最後の最後まで気を抜いてはダメね。
カエルたちが退場(?)した後の、彼らが与り知らないところでも、まさかのドラマは続いている。奥付のページの小さなカットまで、見逃せません。
ほんとうに、世の中、何が起こるかわからないものだねえ。