朝からずっと雨が降っている。
ひとりでお留守番になりそうななおちゃんのところにやってきたのは、緑色のかっぱ。
この町では、雨の日に子どもがお留守番をするときは、カッパといっしょに過ごすのだそうだ。だから、おかあさんたちは安心していられるのだって。
雨の日でピクニック日よりだからと、なおちゃんは、かっぱと林のほうへでかけた。
降りしきる雨。暗い空のしたで、深い緑がまぶしい。濡れた森の匂いがしてきそう。
緑濃い画面のなかで、カッパとこどもたちが遊んでいる。大きな画面のなかで、小指の爪ほどの小さな人たちの姿が、色とりどりの星みたいに輝いている。
水が増えた池に浮かべるボート、木の上の遊び場。
指で絵をたどりながら遊ぶ楽しさ。そうだそうだ、雨の日って、ほんとは良いお天気なんだねと、絵本のなかの子どもたちに呼び掛けたくなる。
雨の降る日は良い天気。雨が降るから良い天気。
ページをめくるたびに、ずっと雨の音が聞こえていた。あとになるほど楽しげに。
表紙の絵、緑の濃淡が美しい。小さな赤い傘が、灯った明かりのようだ。