『ちっちゃい おおきい おんなのこ』 クレア・キーン

 

マティスはちっちゃい女の子。
ちっちゃい女の子には、できることはたくさんあるし、楽しめることもいろいろある。
大きなお店のなかをちょろちょろするとか。
お店の広い通路をぴょんぴょん跳ねていく女の子の得意そうな顔を見て。
そして、大きなカートを押しながら全速力で追いかけていくお母さんの顔も。
追いかけるお母さんのおなかが風船みたいに膨らんでいることや、カートの中に入っているのが大きな二人乗りバギーの箱であることには、二回目に読んだときに気がついた。
おなかのなかに二人目の赤ちゃんがいるお母さん、(たいていは不本意だけれど)こんなにもエネルギッシュな日々を送っているのだね。


大きいものに囲まれて、ちっちゃい女の子はほんとにちっちゃい。
そこに、ちっちゃい女の子よりもっとちっちゃい存在が登場することに(予想していたはずなのに)つい驚いてしまう。
ちっちゃいマティスが、いつのまにか自分が大きい子になっていたことに気がつくのは、ちっちゃい弟をあやしたり、お世話をしたりすることの喜びを知ったとき。それは、これまで自分がちっちゃい子でいられる時期をたっぷりと楽しんでこられたからだろう。


二人の子どもが二つのチャイルドシートに仲良く並んでおでかけする様子を見ると、おおきいおんなのこも、まだまだちっちゃいこであることに気がつくし、ちっちゃいこでいることもおおきいこでいることと同じくらい楽しんでいるおんなのこであることにも気がついてちょっと安心する。


最後のページのこどもたちは、ともにちっちゃいおおきいこどもたち。
書かれている言葉がすてきだ。
「おおきな おおきな せかいには
 おもしろいことが たくさん あるんだよ。
 いっしょに いっぱい さがそうね!」