「て
わたしたちの て。
ては まいにち
いろいろなことを
する」
顔を洗ったり、ご飯を食べたり、ボタンをはめたり、お湯の温度を確かめたり、絵を描いたり……
手はほんとに役にたつのだ。
「でも それだけじゃない。
もっと もっと
すてきなことも できるよ」
さて、なにができるかな。
手はカスタネットになる。リズムをつけて、リズムをかえて、つよく、よわく、みんなで叩くとなお楽しい。
あとは、どんなことができるのだろう。
ひとりの「て」でできること、だれかの「て」と一緒にできること、みんなの「て」を合わせてできること……
この絵本のなかには、全部ちがうことをしている、たくさんの「て」が描かれていて、それらのほとんどは、毎日何度でもお目にかかる「て」の仕事(?)なのだ。だけど、あらためて並べてみると、機能も使い道・使い方も、驚くほど多彩だ。
そして、思った。「て」がしている一ことは、仕事というより語りなんだ、と。
色々な形で話している。もしかしたら一日中。しかも、なんて、おしゃべり上手。そのときどきの表情まで変えて。
最後の言葉、
「もしかしたら
ては
こころが
でたり
はいったり
するところ
なのかもしれない」
に、私もしげしげと自分の「て」を眺める。