『ジュディ・モードの独立宣言 (ジュディ・モードと仲間たち6)』 メーガン・マクドナルド(文) ピーター・レイノルズ(絵)

ジュディ・モードの独立宣言 (ジュディ・モードとなかまたち)

ジュディ・モードの独立宣言 (ジュディ・モードとなかまたち)


シリーズ五冊めの『ジュディ・モード医者になる』を読み終えたのが2008年の3月だった。
ちょうど十年前だ。いつのまに十年もたっちゃったんだろう、と思いつつ、手に取った、久々の「ジュディ・モードと仲間たち」6さつめの本である。
本の姿(一見地味そうで、実は遊び心ある凝った装丁!!)も、
読み応えある温かな献辞も、
そして、登場人物を紹介する「この本に出てくる人たち」の、取り澄ました顔に添えられた、思わず吹き出してしまうような短い言葉も、
文章と挿し絵とのチームワークの絶妙さで笑顔にしてくれる物語も・・・
みんなみんな、昨日読み終えた本の続きを読んでいるようではないか。
ほんとに、いつのまに十年たっちゃった? ごめんね、十年も待っててくれたんだね、と一人しみじみしている。
ただいまジュディ! お帰りジュディ! 短い周期でくるくる変わる気分(モード)に振り回されてハラハラしたり、にやにやする、この読み心地(モード)も懐かしい。(そして、この子が一番かわいらしいのは不機嫌モードのときなのです)
久しぶり、スティンク、オモディクラブの仲間たち、トッド先生! それから「ヒャッホー」のアーーイスクリーム!


ジュディ一家は、ボストンへ一泊旅行をする。
そこでジュディは、アメリカの独立について学び、イギリスから来た「自由」な少女トーリと友だちになるのだ。
家に帰ってからジュディは、おとうさんとおかあさんに、「七つのセイトーなけんり」を得るための「独立宣言」をする。
けれども、自由はただでは手に入らない。
両親に、しっかりしたところを見せるため、ジュディがんばってみせるが、ちょっと方向がちがうかな。そうそう素直にコトが運ぶわけではないのだ。
さてさて・・・


子どもたちがのびのびと活躍するジュディの物語には、さりげなく子どもらを見守る、素敵な端役(!)の大人たちが出てくる。
まずは、ジュディの両親がわたしは好きだ。これまでもずっと好きだった。
強いインパクトをもっているわけではないけれど、それがよかった。
子どもを外に出してやり迎えてやり、食べさせて着させて、(大切なことだけれど、それだけやるの大変ですよね)「普通の親よ」って顔している両親。子どもたちには、安心して、一人で大きくなったような顔をさせといてやる。
私は、そういう二人が好きだった。
今回、ジュディが両親を相手に独立宣言なんかしちゃったものだから、影に隠れていた親たちが、明るいところに引っ張り出されたような気がする。
いざとなったら、実はこんなに粋で楽しいこともして見せてくれる二人がますます好きになった。


もう一人は、ジュデイたちの担任のトッド先生。
独立宣言に夢中のジュディに、さりげなくこんなことを教えてくれる。
「(独立戦争の英雄)ポール・リビアのように馬を走らせた有名な女の子がいたんだ。名前は、シビル・ルディントン」
そして、教科書にはあまり書かれていないシビル・ルディントンの本があることも教えてくれた。
ジュディは、その本の感想を発表しながら、こう言う。
「みんな、ポール・リビアみたいな女の子のことを知っておくべきです。知らない人が多いっていうのは、なにかあんぽんたんな理由で、歴史の本に女の子の話をのせるのを忘れた人がいるからだと思います」
どこにでも、あんぽんたんな話はあるものだ。あんぽんたんに嵌まらないように、そっと子どもを掬いあげてくれる大人がそばにいてくれるって、幸せじゃないか。