- 作者: ユージーントリビザス,ヘレンオクセンバリー,Eugene Trivizas,Helen Oxenbury,こだまともこ
- 出版社/メーカー: 冨山房
- 発売日: 1994/05/18
- メディア: ハードカバー
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表紙の三匹ね。気が弱そうで、ふわふわして、ほのぼのとかわいくて、あのう、ほんとうにオオカミなのか?
お母さんオオカミが言うのです。
「さあ おまえたち、そろそろ ひろいせかいにでておいき。かあさんのうちをでて、じぶんたちの うちをつくりなさいな。でも、わるいおおブタにはきをつけるのよ。」
そして登場するブタがまた、ほんとうに大きくて強そうで、見るからにこわそうなのですよね。
かあさんオオカミの言葉を思い出し、見た瞬間に、何も考えず「おお。悪い奴登場」と思っている。
『三匹の子ブタ』がころりとひっくり返って、この逆転劇。なんだか視界が開けるようで、次はどうなるのかな、とわくわくしてしまう。
気持ちがいいのは、繰り返されるオオカミとブタの掛け合いの言葉。
しかし、ぶたとおおかみが入れ替わったくらいで喜ぶのは早かった。
なんとなく囚われものの価値観から放たれたようでおおらかな気分になっていたけれど、ほんとは囚われたままだった。
お構いなしに、お話はどんどん過激になっていく。責めも守りもヒートアップしていく。い、いいのかな・・・
人の話をうのみにして、表面の見かけに囚われて、縦横ななめが見えないし、考えることはあとまわし。避けて通るのが精いっぱい。おかげでとんだ回り道。
あのジャイアンみたいなブタ、確かに恐いんですけれどね。(どういうわけであんなに威圧的になったのかしら)
そうして、3びきのオオカミたちのかわいらしさが、いらいらするくらいの天然アホウ面に見えてきます。