『こんにちは、アンリくん』 エディット・ヴァシュロン/ヴァージニア・カール

 

「この こは アンリくんです。
 アンリくんは
 フランスに すんでいます」
「この ねこは ミシェルくんです。
 ミシェルくんは 
 フランスに すんでいます」
と始まるこの本には、家族が大勢いるアンリ君(23人も!)とミシェル君(家族は39匹!)が仲良しになるお話『アンリくん』をはじめとした三つのお話が入っています。どのお話も、楽しい挿し絵がたっぷり。


アンリくんとミシェルくんは、それぞれのかあさんに頼まれて魚を買いに行く。ふたりとも、大きな一匹の魚(アンリくんの背丈ほどもある)を気に入って、買って帰る。みんなで分けっこして食べるために。
三つの長いテーブルを囲んで23人と39匹が仲よく坐っている絵がいい。
魚の分け方が大胆でかわいい。


雨の日に、アンリ君が自分の赤い傘を探すお話や、今日が何曜日だかわからなくなってしまうお話、どれも伸びやかに過ごす子どもの小さな日常の一コマ。


アンリくんとミシェルくんのお話は、ウィスコンシン州の二人の図書館員によって、1959年に作られたそうだ。64年前だ。初めて読む本なのに、文章も絵も、懐かしい感じがするのは、そういうわけなのだ。
驚くような大事件は起こらないけれど、身の回りには、数えきれないほどの小さな驚きがきっといっぱいある。
明日も明後日も今日と同じくらいには変わったことやおもしろいことがきっと起る。子どもの日々は一刻一刻が尊いな。