『木はえらい―イギリス子ども詩集 』 谷川俊太郎/川崎洋(編訳)

 

木はえらい―イギリス子ども詩集 (岩波少年文庫)

木はえらい―イギリス子ども詩集 (岩波少年文庫)

  • 発売日: 2000/11/17
  • メディア: 単行本
 

 

アラン・アルバーグ、マイケル・ローゼン、ブライアン・パテン、キット・ライト、スパイク・ミリガン、ロジャー・マッガウ。
六人の詩人たちは、1970年ごろに現れた「新しい詩の波」の詩人たち。
これまで、イギリスの児童詩の中心は、ウィリアム・ブレイクに代表されるような抒情詩や、教訓詩だったそうです。
「新しい詩の波」は、簡単に言ったら「悪ガキの詩」で、イギリスの子どもたちに圧倒的に支持されたという。
「悪ガキの詩」ってどんなふうなの?と言ったら……
たとえば「なんで学校いかなきゃならないの」と、子どもに尋ねられたら何と答えようか?と、自分なりの答えを準備してから、アラン・アルバーグの詩を読んでみる。
うん。子どもたちが圧倒的に支持するのがわかる気がします。


子どもたち、あなたたちに聞いてほしくない事を、大人は、時々ごまかします。
自分だって苦手なことを、さもいいことのように言って、押し付けたりもするのです。
子どもの気持ちもわかるよなんて、図々しいこと、言いませんが、それでも、あなたたちに、できるだけよいものを、背伸びしてでも手渡したいと思ってはいるのです。ただ、それの良さを、ほかならぬ大人がわかっていなかったりするのだけど。


この詩集を読みながら、わたしはけらけら笑っている。(時々ほろっとしたりも)
笑いながら少し寂しくなったり、ちょっとだけうらめしい気持ちになる。
あーあ、いつのまに、こっちの側に来ちゃったのだろう。わたしだって、以前はそっちにいたのに。
だから、子どもたち、覚悟しなさい。いつかあなたたちもこっち側だよ。そんなこと信じられない? そういっていなさい。今に見ていなさい。


だけど、やっぱり、ほんのひと握り、大人になっても、こちらとあちらを自由に行き来できる人がいる。
それが、ここにいる六人の素敵な人たち。