『ウィンクルさんとかもめ』エリザベス・ローズ(文)/ジェラルド・ローズ(絵)/ふしみみさを(訳)

 

ウィンクルさんとかもめ (大型絵本)

ウィンクルさんとかもめ (大型絵本)

 

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ウィンクルさんの村では、あるひ、さかながぱたりととれなくなった。
この村は漁村なので、漁師も、市長さんも、魚屋さんも、魚屋さんの猫も、みんなみんな大弱りだった。
そんな村を救ったのは、かもめたち。
ウィンクルさんはこれまで、毎日、かもめたちにえさをやっていたのだった。仲間の漁師たちにばかにされながらも。
そのかもめたちが、今度はウィンクルさんに、さかなたちが戻ってきたことを教えてくれたのだ。


屈強そうな漁師たちが、楽しそうにかもめに向かって大きく手を振りながらえさをやっている風景は、なんともほのぼのとうれしいものだ。
この絵本のなかのおじさんたちもおばさんたちも、表情がいい。彼ら彼女らのなかには、元気な子どもが入っているに違いない、と思うような無邪気な表情が、素敵なのだ。


伸びやかな線。そして色。
画材はガッシュかな。多色使いだけれど、深みがある。一段抑えたような渋めの明るさが心地よい。
縦型の絵本だけれど、背景に海があるせいか、横に広がるイメージ。
のびやかな水平線。かもめたちの白い色が、星みたいにきらめいている。