1月の読書

2014年1月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1359ページ

ルリユール (一般書)ルリユール (一般書)感想
傷み、ぼろぼろになってしまった本を修復したい。本当は、本ではなくて自分自身を修復したいのかもしれない。そういう人々の心にクラウディアさんはそっと魔法の手を添える。人々の物語を読みながら、本って何だろう、と思う。大人たちが求めるのは修復。対して新しい本を作り出そうとしている瑠璃。美しいただ一冊の本が若い彼女の未来に重なり清々しい。
読了日:1月27日 著者:村山早紀
12種類の氷12種類の氷感想
12種類の氷は、別の言い方をすれば12種類の楽しみ。自分を取り巻く環境と自分自身とが丸く一つになっての喜びは、年齢制限のある喜びでもある。だから切なくなるくらいに美しいし、こういう子ども時代の思い出を持って大人になれるってなんて幸せなんだろう。圧巻は夜のスケート。また、12番目の氷の美しさにため息が出る。
読了日:1月20日 著者:エレン・ブライアンオベッド
ヤンソンとムーミンのアトリエヤンソンとムーミンのアトリエ感想
壁の本棚。自身・父母・友人の作品。豊富な紙類。どれも興味津々だけれど、一番印象的なのは殆どのページどこにもいるヤンソンさん本人の表情。カメラに向ける表情は、びっくりするほど柔らかい。部屋の空気まで柔らかく変えてしまう。居心地のよさそうな住まい、と思うのは、ヤンソンさんのくつろいだ表情にも拠る。お腹から満たされる美しい写真集。
読了日:1月20日 著者:木之下晃
ワインズバーグ・オハイオ (講談社文芸文庫)ワインズバーグ・オハイオ (講談社文芸文庫)感想
グロテスクは愛おしい。無理解や絶望の残滓だとしても、それを抱えていることが愛おしい。本当は語る必要なんてなかったんじゃないか。それでも、ひとりひとりの特別な物語を一話読み終えるたびに、ひとりひとりに一層親密な気持ちになる。私もまた、抱えている一人だということに気がついて、一人ひとりが親友になり親戚になる。
読了日:1月17日 著者:シャーウッド・アンダソン
すべてきみに宛てた手紙すべてきみに宛てた手紙感想
長田さんの手紙の中には、たくさんの言葉の灯りがちりばめられている。暗い世界に灯を灯す。考える、ということは、言葉から始まるのだろう。言葉を探すことが、考える、ということなのだろう。感じることから、考えることにシフトするために、私も、拙いけれど言葉を探そう。十年以上前に書かれたこの「手紙」は、今の時代に開封されるのを待っていたようです。
読了日:1月13日 著者:長田弘
ことりことり感想
言葉って大切に相手に渡される心のこもった贈り物のようだ、と思った。親が子どもたちにせっせと言葉を教えたのは、言葉が子どもたちを幸せにしてくれると信じるから。でも、振り返れば、いつのまにか異質なものが混ざりこんでいた、異質だという事にも気がつかないまま。幸せに、決まった形を求めるとき、それは幸せとは遠いものになっているのかもしれない。
読了日:1月8日 著者:小川洋子
リゴーニ・ステルンの動物記  -北イタリアの森から- (世界傑作童話シリーズ)リゴーニ・ステルンの動物記 -北イタリアの森から- (世界傑作童話シリーズ)感想
残酷な時代を生き延びた作者と動物たちの内面にある暗い森。その共感の音を聞いている気分だ。しかし、人間というものはつくづく破壊することが得意な生き物だ。森は闇を内包して静謐なまでに美しい。軽はずみな善意から森の闇を遠ざけ、忘れてしまうことが恐ろしい。忘れたものの代わりに忍び込んでくるもっともっと深い闇が恐ろしい。そんなことを考えています。
読了日:1月6日 著者:マーリオ・リゴーニ・ステルン
MOE (モエ) 2014年 01月号 [雑誌]MOE (モエ) 2014年 01月号 [雑誌]感想
芸術新潮2009年5月号のヤンソン特集のように物語の真ん中を深く読み解き掘り下げようという特集とは違う。むしろ、ムーミン「周辺」の様々な本やグッズ、イベント、キャラクター、旅行などへの広く浅くの道案内、またはカタログという感じでしょうか。気楽に眺めて楽しむ。おまけが嬉しい^^
読了日:1月5日 著者:

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