たのしいムーミン一家

たのしいムーミン一家 (ムーミン童話全集 2)

たのしいムーミン一家 (ムーミン童話全集 2)



>そこでは、だれでもすきなことをやって、あしたのことなんか、ちっとも気にかけません。ちょいちょい、思いがけないこまったことがおこりましたが、だれもそんなことは気にしないのです。これは、いつだっていいことですよね。
それだから、いつも満員のムーミンやしき。


ここには、何しろムーミンママがいる。
急なお客様にも、お客様のサイズに合わせたベッドを用意しようとするし、
パンケーキとジャムを食べるような人なら、そんなにこわくはありませんからね、といいながら、
怖ろしい(はずの)飛行鬼にだって、御馳走するムーミンママが。
何がおこったってぼうやがぼうやだとみわけられるムーミンママが。


ヘムレンさんが「生きるってことは、平和なものじゃないんですよ」と嘆くのはきっと本当なんだと思う。
だけど、そのヘムレンさんもここムーミンやしきで居心地良く暮らしている。
そして、こういうムーミンやしきだから、スナフキンは、ここから旅に出たいと思う。
そして、帰ってくるべき場所としてムーミンやしきがあるのはいいなあ。


冬眠から覚めた春の日から、夏のおわりまで。
不思議な拾いものをしたおかげで、とんだことがおこったり、でも、やっぱり良いことに変わったり、
ピクニックをしたり、パーティをしたり・・・
大冒険は、あっちにもこっちにもころがっているし、
お客様もきますし、失くし物をしたり、見つかったりするし・・・
賑やかです。
なかなか太陽が沈まない北欧の夏は短い。
長い冬を冬眠して過ごすムーミン谷の住民たちは、全力でこの短い夏を追いかけ、
急いで楽しみつくそう、味わいつくそうとしているようにも思えます。
短いからこその夏のムーミン谷はなんて忙しくて、なんて楽しいんだろう。


でも、一番美しいのは、この素晴らしい季節が今まさに去ろうとする瞬間。
夏を夢中で駆けぬけて、ふと立ち止まったところだろうか。
八月の末、


ムーミントロールは、こうした夏のさいごの時期が、いつでもいちばんすきでした――
という、夏の終りの自然の美しさを謳いあげる、その描写にほうっとため息をつく。


☆ところで、じゃこうねずみの入れ歯は何に変わったのでしょうねえ。
・・・と、尋ねるのも無粋かな。
わからない人はお母さんに聞いてみて、と言われて、しょうしょう慌てました。(わたしも実はおかあさんなのに^^)
百人のお母さんには百通りの答えがある、ということかな。