リボン

リボン (一般書)

リボン (一般書)


小鳥が肩や手に着地したときの心地良い重み、頬に触れる羽毛のふわふわ、
手に止まった小鳥の足が、指にギュッと巻きつくときの締り具合や、やや熱い加減の体温の温かさ、などが、蘇ってきて、
両手でそっと掬いとりたい気持ちになる。耳の下あたりを「いいこいいこ」と言いながら指でそうっと撫ぜてやりたくなる。
小首をかしげて、目を閉じて、きっと気持ちよさそうに眠ってしまうかもしれない。


リボン。それがその小鳥の名前です。オカメインコのリボン。
誰かと誰かを結ぶ永遠のリボン。
手を伸ばして触りたい人がいる。でも、実際には届かないその人と自分とを結ぶリボン。
小鳥は、自分の気持ちを人間に理解してもらおう、とは思っていないかもしれないのだ。
でも、人間のほうは、小鳥の目や様子を見ながら、たぶんこの子は自分のことを分かってくれているのだ、と思う、信じる。
小鳥の力を借りて、ひとりぼっちだと思っていた自分が何かと繋がっていたことを思い出す。
思い出しの様子があまりにやさしいので、ありがとう、と言いたくなります。
だけど、どこにもだれにも属さない、自由なリボンが、けなげで、ちょっと寂しいような気持ちになります。