『ゆらぎの詩の物語 』 わたりむつこ

はなはなみんみ物語 第2部

小人のいにしえのふるさとである小人の国に向けて船出したはなはなたちは、仲間をひとり、二人と失いながら、ある島に到着します。ここはどこだろう。まさか…
ここは、嘗ての小人の国(列島)の一部であることが判明しますが、この島には危機がせまっていました。
のぼり詰めた文明の滅びを目の当たりに見るような、不安と寂しさのなかで、物語は始まります。

物語第一部で根絶やしにした「いかり草」以上の、祖先からの負の財産「ゆらぎの柱」の存在に気がついたとき、
このまま滅びを待つのか…
いいえ、ここで、大人たちがその分別から行動をためらうのに引き換えて、子どもたちが敢然と立ち上がるのが、すがすがしいです。 この子たちは戦争を知らない世代です。そして、彼らが受け継いだ負の財産は、彼らには責任がないのです。
でも、はなはな、みんみ、くりな、ゆた、という四人の子どもたちは逃げません、自分たちの置かれた立場をありのままに受け入れて、真剣に考えます。
自分たちの未来を自分たちの手で切り開こうとします。

世代交代の物語でもあったと思います。
父母は、子どもたちを守る役割から、巣立ちを見守る役割にかわっていくのです。

ゆらぎの柱が、わりとあっけなく倒れたのは、拍子抜けでしたが、そもそもこのゆらぎの柱とは何だったのでしょうか。どんな目的で、置かれたのでしょうか。
また、よみがえりの石とは何でしょうか。
これは、第三部で、あきらかになるのでしょうか。

かわいい挿絵とやさしい語り口に似合わない、スケールの大きな冒険物語ですが、そこに託して語られるのは、太平洋戦争であり、考えさせるのは戦争に対しての向き合い方です。

 小人たちの食べ物、おいしそうでした♪ くるみパンやわかめせんべい、食べてみたいなあと思いました。