『バレエダンサー』 ルーマ・ゴッデン

バレエダンサーを目指すあまりにも対照的な姉弟

打たれれば打たれるほど、りんとした輝きを増していく弟デュ―ン。デューンの成長をみているのは楽しいし、その成功は、感動的です。
でも、もう一人の主人公クリスタル。才能にあふれ、欲しいものは何もかも与えられ、蝶よ花よと育てられ、そのために大きくなってからさまざまなことに苦しむクリスタルから目が離せませんでした。
あまりにも大切にされすぎてしまったために、彼女には乗り越えなければならないものがたくさんありました。
ふと思います。
子どもを愛し、よかれと思いながらしてあげたことが、もしかしたら、
子どもに大きな負荷を与えているのではないかと。
それでも、大きな大きな山を乗り越えて立った舞台。
最後の“くるみ割り人形のクララ役”、本当に素晴らしかったことでしょう。

また、オマケの楽しみとして。
物語の冒頭に掲げられたバレエ公演「レダと白鳥」のプログラム。初めてページを繰ったときには何の意味も持たなかったこのプログラムを、読書中、何度もひっくり返して眺めました。配役の名に、作中のお馴染みさん(?)を確認して、楽しみました。

最後は文句なしに感動でした。
眠り姫のお話の最後をいただいて、
「あなたもわたしも そこにいられたらよかったのにね」