『ぼくのばしょなのに』 刀根里衣

 

ペンギンのククーは、パパとママのお腹の下が大好き。「ふんわり、ポカポカ、いいきもち」のお気に入りの場所。
だけど、ある日のこと、お気に入りの場所は、突然現れたたまごに奪われてしまう。パパとママも、この場所をたまごにゆずってほしいというし。怒ったククーは、お気に入りの毛布にくるまって、まんまるたまごになってしまう。
自分の弟妹に出会うこと、受け入れることは、上の子にとって、それはそれは大変なことだと思う。
さて、パパとママは……。


どんなにククー坊やがパパとママのかけがえのない存在であることか、ページをめくるたびに、毛布たまごの奥深くまで、伝わってくる。
ふんわり、ポカポカ、いいきもちの場所は、パパとママのお腹の下だけにとどまらないことに気がついて、うれしくなってしまう。
もう一度、表紙の絵をみると、小さなペンギンのぼうやが、あの子の顔に似ているような気がして、これもうれしくなる。


(おはなしの中で繰り返される言葉を、読み手と子とで、唱和しながら読みました。)