『雪の日のたんじょう日』 ヘレン・ケイ/バーバラ・クーニー

 

明日、ほんとに雪降るのかな。
子どもたちが雪を楽しみに待っているから、降ったらいいなあ、と思う。そのすぐあとで、いやいや、やっぱり雪は勘弁してほしい、いろいろと面倒なんだもの、と思う。


この絵本の主人公スティーブンはもうすぐ誕生日。プレゼントにほしいものはいろいろあるけれど、何よりも雪がほしい。
という願いが叶って、前日には本当に降ってきた。雪のなかで過ごす幾つもの楽しみに、読んでいるこちらの心も弾むのだけれど……
降りすぎだ。
雪のなかで車で立ち往生してしまった人がスティーブンの家に避難してくるほどの大雪になってしまった。
おたんじょうびのお祝いに来られる友だちは、だれもいない。
思いもよらない誕生日に、スティーブンは悲しくて仕方がない。


こんなとき、子どもの悲しみに共感しても、中途半端に慰めたり遠慮したりしない両親と、もくもくと自分にあてがわれた仕事をこなす子どもの関係がいいなあと思う。
同時に、全力でぐんぐん大きくなっていく子どもを、力いっぱい支える大人がいるっていうのも、いいものだと思う。
君は日々をただ夢中ですごせばいいんだよ、あとのことはこちらにまかせておけ、といわんばかりの(でも、あくまでもつつましく)頼もしい大人が控えている物語は気持ちがいい。


雪、ほんとうにきれいだった。
積もった雪は、こんなに眩しくて。