『しあわせないぬになるには 〜にんげんにはないしょだよ』 ジョー・ウィリアムソン

しあわせな いぬに なるには: にんげんには ないしょだよ! (児童書)

しあわせな いぬに なるには: にんげんには ないしょだよ! (児童書)


人のために人が書いた「犬との暮らし方」指南書があるのだから、犬のために犬が書く(書けるものならば!)「人との暮らし方」の指南書だってあっていい。
この本みたいに。
「ぜんこくの いぬのみなさん ワンにちは!」と、この本は始まる。


人は、自分と一緒に暮らす犬を、まずは選びだす。
ほんとうに?
どうして思いつかなかったかしら。
犬もまた、いっしょにくらす「にんげんえらび」をしていることを。
人が「この犬だ!」と思ったとき、犬もまた「このひとだ!」とおもっていたかもしれない、ということを。


犬と人とが、いっしょにくらせば、うれしいことも困ったこともあって、不思議だと思うこともあって、その都度、軌道修正したり、譲歩したりする。
この本では、とぼけた顔の犬たちが、やっぱりとぼけた顔の人間を相棒にして、犬のすべきこと、したほうがよいこと、してはいけないことなどを、丁寧に図解(?)して教えてくれる。
はじめて人間と暮らす犬たちには、とても読みやすく、わかりやすくできている。
大好きな相手のために「よかれ」と思ってする、あのこと、このことに、思わず、本のこちら側から、人間のわたしはわめく。
そうだったの、そういうつもりだったのか。ありがとう! けど、それはいらないんだ! ほんとにいらないからね。
・・・ということも、きっとお互い様だ。(私の手持ちの『犬との暮らし方』本を、犬に見せたら、「やめてくれ!」というかもしれないじゃないか)
「それでも、かいぬしと いっしょなら
まいにちが とっても たのしいはず」
との言葉に、これもお互い様だよね、と頷く。
人のための『犬との暮らし方』と、犬のための『人との暮らし方』本を、人と犬とで、ときどき取り替えっこして読めたらいいのにね。