『わからん薬学事始③』 まはら三桃

わからん薬学事始3

わからん薬学事始3


魔女に続いて忍者まで出て来たよ。おまけに

>「魔女も忍者もいるんだから、やまんばだっているだろう」
って、いやだ、言おうと思ってたら先に言われちゃった。もう、驚かない。
そして、蘭さんの思い出話の奇想天外ぶりなんて、今までの展開から見たら、かわいいものじゃないか。


物語は続くのだ。「完」は終わりではないのだ。
設定はぶっとんでいるけれど、実は地道な青春ストーリー。地道に成長していく主人公は微笑ましい。
それでも、意地の悪い私は思う。
自分が求めた人生じゃないよね、目標じゃないよね。
だから、苦労したじゃないの、これまでだって。そして、自分から求め始めてもいるじゃないの。
いいえ、まだまだ。まだまだな気がする。
誰かのために、ではなくて、なりたい自分はこれだ!という何か、そういうものが見たい。
もっと大きな壁にきっとぶち当たるはず。
それはどんな壁なんだろう。どうやって乗り越えるのだろう。その先に見える景色はどんな景色だろう。
もうちょっとその先を見せてくれてもよかったのに。


最後までわからなかった幾つかの謎もある。新たな「なぜ」も加わってしまった。
そして、最初から最後までずっとひっかかっていた「なぜ男子でなければいけないの?」は、宙ぶらりんのままである。
「完」はおわりじゃない。(タイトルは「事始」ですものね。「始まり」が終わったってことかな?)


三冊の表紙のデザインが素敵でした。並べて観賞いたします。

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