役にたたない日々 佐野洋子 朝日新聞出版 ★★★★★ |
何度も噴出したり、うんうん、と頷いたり、ああーそんなふうに言っちゃうのか、嫌味もなく、と思ったり・・・
たくさん付箋を貼った。
素直な人だな、うそのない人だな。うんと信頼できる人だな。とっても気持ちがいいな。
嫌味を言われてもすかっとして、アハハ、と笑っていられるな。
書きたいことは一杯ある、と思った。
佐野さんのエッセイ、最高、と思った。
だけど、最後のわずかな数ページほどを読み、ここまでの全てを忘れた。
この前の文章につけた付箋を全部はずした。
まちがいなく 最高の人、佐野さんは。すごい人です。
書かれた言葉はほんとに軽やかで涙が出るほど笑ってしまうのですが、ただおかしいだけじゃないんです。
このおかしさの奥にあるどっしりと太い根はなんだろう。
この根の「すごさ」にいつもとまどいつつ安心しつつ、畏れつつ、忘れていたわけではなかった。
この「すごさ」は何なのか。
この本の最後のほうを読んだとき、言葉では説明できないけれど、ああ、と思い当たった。しっかりとした手ごたえで。
こんなすごいの、読んだことない。感想なんか書けるか。
もし感想を書くとしたら、佐野さんの生き方は限りなくまっすぐで、ただ美しい、と。
年々に わが悲しみは 深くして いよいよ華やぐ 命なりけり (岡本 かの子)