kira-Kira

Kira-Kira / Cynthia Kadohata / Simon And Schuster


日系人の少女Katieの言葉で彼女の少女時代とその家庭のことが綴られる。

Katieに日本語の“kira‐kira”という言葉を教えてくれたのはLynn。青空も子猫も色のついたクリネックスも大好きなものはみんなkira-kiraだった。

kira-kiraに満ちた幼い日々の後、物心ついた頃から、Katieはいろいろなことに気がついてゆく。
家庭の貧しさ、日系人であるために受ける差別・・・
ちょうど邦訳本カレンへスの「11の声」を読んでいるところだったので重なる部分があったりして。そのうえで、私にはKattieたちが同胞(と勝手に思っている)の日系人だということで、こちらの本のほうがより身に迫る感じがしました。

そして、最愛の姉Lynnの病気。

さまざまな苦しみが次々におそうKatieの少女時代。なのに、物語は暗くない。この少女の意志の強さ。明るさ。貧しく働きづめの両親だけれど、家族の確かなきずなと、一本筋の通った倫理観、温かさが、物語の端々から感じられるのです。
そして、物語の間に現れるさまざまなkira-kira。
最後に、教室で書いたkatieの作文がよい。そのまえのお葬式のときの〈同じテーマの)フォーマルな文章よりもずっとずっと。
ああ、そうだ、これだ。これなんだよ。と、涙が出てきた。

つらいはずの最後なのに、読後がなんと爽やかだったことか。Katieとともにわたしもいっぱいの kira-kiraのなかにいるようでまぶしくて、気持ちよくて。

物語のなかで、Katieの家族が日本の文化や習慣を踏襲しているのが、日本人としてなんだかうれしいような懐かしいような・・・外国を旅行中に自国の人に思いがけず会ったような感じでしょうか。
お正月の初夢のことやおもちを食べること。
亡くなった人の魂が49日間地上にとどまるという考え方。
などなど。

また、Katieの家族を助ける隣人や親戚たちが温かくて。
とくにKatsuhisaおじさんの天然の明るさ・・・実はさまざまな苦しみを乗り越えて、いや、今も抱え込んでの明るさが心に残ります。
・・・Katieはもしかしたらこのおじに一番似ているかもしれない。(勘弁してよ、と言われそうだけれど)