『べんけいとおとみさん』  石井桃子

ある家族がいます。
おとうさんとおかあさん。そして、子どもたちは…
9歳のおとみさん、7歳のかずちゃん、5歳のまりちゃん、3歳のべんけいです。ただし、おとみさんはネコ、べんけいは犬ですが。

たなばたの笹をさがしに、おとみさんの案内で出かけていったり。
べんけいは、かずちゃんの登下校にいつもついていって、運動会の綱引きでは助太刀したり。
夏の朝早くおきておとうさんといっしょゲンノショウコをたくさん摘みに行ったり。
(これは干して一年分の家族の薬にします)
お月見にすすきをおすそわけするかわりにあちこちのおうちから、柿、栗、枝豆、サトイモなどをわけてもらったり。
今から50年近い昔の日本では、子どもたちは、こんなのんびりとした空気の中で、育っていたのでした。

そして、いつも、それそれにそれぞれらしいやり方で子どもたちに関わるおとみさんとべんけいの存在がいいです。
だけど、家族そろってのクリスマスパーティの余興におとみさんが「しんだはずだよ、おとみさん」を歌って拍手喝采、というのはなんだかおかしいです。