『あめのひのピクニック』 ガブリエル・バンサン

 

 

絵本『あめかっぱ』を読んでいたら、雨の日はピクニック日より、という言葉が出てきて、この絵本『あめのひのピクニック』を思い出した。
これは、大きなくまのアーネストとおしゃまな子ねずみのセレスティーヌの暮らしを描いた「くまのアーネストおじさん」シリーズの一冊だ。


ピクニックに行く予定だったその日は、どしゃぶりの雨になってしまった。
出かけられないことを告げられたセレスティーヌの様子が、まず一ページを四分割したセリフのない絵で描かれる。どうにもやりきれない気持ちがその仕草の一つ一つにあふれていて(足の指の先までも)、それは、本当にリアルな子どもの姿で、可哀想というよりも、なんて可愛らしいのだろう、と思わず微笑んでしまう。
ついに見かねたアーネストが提案する。
「ふたりとも、きょうは とても いいてんきだっていう つもりに なるのさ」
そして、二人はお弁当をもって、日よけ帽子ももって、でも、雨合羽(マント)に傘さして、元気にピクニックに出かけていくのである。ざんざん降りの雨のなかを。


このシリーズ、どれも好きなのですが、なかでも、この本が一番好き。
最高の「つもり」の遊び。そこに付き合う、というより一緒に楽しむ大人のアーネストがとても素敵だと思うのだ。
むかし……
こんなピクニックしたいね、むしろ雨の日にピクニックしたいね、と子どもと話したこと、その後、家の内外で、工夫を凝らした子どものテント(?)らしきものを発見した時の心楽しさなどを思い出す。