8月の読書

2013年8月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:3971ページ

ムーミンパパの「手帖」―トーベ・ヤンソンとムーミンの世界ムーミンパパの「手帖」―トーベ・ヤンソンとムーミンの世界感想
ヤンソン自身が幸福な幼年時代を過ごしたからこそ生まれたムーミン家族の物語なのだということ、ヤンソンさんの感じる幸福の照り返しが読者であるわたしを幸福にするのだ、ということを確認しました。ムーミンを始め、ヤンソンさんの子どもの本に、出会えたことの幸福を感じています。
読了日:8月20日 著者:東宏治
八月の光 (新潮文庫)八月の光 (新潮文庫)感想
忘れたくても忘れられない父祖の血の流れの続きを流れていくしかないのだ、という気がすごくする。ハイタワーもクリスマスも。次から次へと浮かんでくる登場人物たちの顔、顔、顔・・・その先に生まれたばかりのリーナの子の人生が始まる。母親のあっけらかんとした逞しさが人生への餞のようです。
読了日:8月17日 著者:フォークナー
グーテンベルクのふしぎな機械グーテンベルクのふしぎな機械感想
1450年にいたという。その生涯のほとんどは何もわかっていないという。でも彼は、確かに偉大な魔法使いだった。魔法使いの手の内を丁寧に美しい絵本(という魔法)で、今、明かされたのでした。それから500年。わたしたちが本との出会いを喜ぶとき、魔法にかかっているのですね、きっと。
読了日:8月17日 著者:ジェイムズランフォード
?あつさのせい? (日本傑作絵本シリーズ)?あつさのせい? (日本傑作絵本シリーズ)感想
連日35度以上でしょ。エアコンもかき氷も焼け石に水。それなら、開き直ってみたらどう?と、スズキコージの強烈な太陽が招いている。江戸っ子の夏の乗り切り方かもしれない。一つや二つ、忘れ物もするさ、してもいいのさ。それもこれもあつさのせい、と思考停止状態でぼーっと思っている暑さなのだ。
読了日:8月16日 著者:スズキコージ
彫刻家の娘彫刻家の娘感想
(再読)ママのチュールのペチコートに隠れて外界を眺める場面があるけれど、この物語全体が、チュールのペチコートの中の世界なのだ。外の世界は、ぼんやりとしている。それでいい。いつか、外に出ていく彼女は、このペチコートの下で、安心して、思うさま自分の世界を育て上げた。
読了日:8月16日 著者:トーベ・ヤンソン
ふたりの画家―丸木位里・丸木俊の世界ふたりの画家―丸木位里・丸木俊の世界感想
多くの地獄を辿り、乗り越えてきたふたりの画家。戦争や差別や公害を激しく憎み、どこまでも精力的に旅を続けていた。でも、その表情はなんて静かなんだろう。静かで明るいのだろう。ユーモアをたたえ、やさしいのだろう。
読了日:8月15日 著者:本橋成一
たんぽぽ娘 (奇想コレクション)たんぽぽ娘 (奇想コレクション)感想
SFなのに懐かしい。ほっとする。というのは、私にとってはSFっぽくない感じ。移り変わっていくことの切なさ、二度と戻らないもののかけがえのなさなどを呼び起こされる。自分の身の周りを改めて見回してみたくなる。ありふれた日々だと思っていたけど、一瞬一瞬が大切な時間だ、と気づく。
読了日:8月13日 著者:ロバート・F・ヤング
木々は八月に何をするのか―大人になっていない人たちへの七つの物語木々は八月に何をするのか―大人になっていない人たちへの七つの物語感想
不思議で少し怖い。どの物語もぎりぎりのところで、引き戻される。踏みとどまる。ほっとする、良かったな、と思う。ほんとうに? それを手放しで喜んでいないのだ、と気がついた。知らなきゃそれまでだった。焦がれているうちは美しかった。大切な何かを手放してしまったんじゃないか、と悔やまれる。
読了日:8月10日 著者:レーナクルーン
ぼくは、図書館がすき―漆原宏写真集ぼくは、図書館がすき―漆原宏写真集感想
いろいろな図書館、いろいろな利用。様々な事情を抱えた人が等しく本と向かい合える図書館。こども室では、赤ちゃんがはいはいしていたりする。雨宿りなら図書館が素敵。私の図書館とのお付き合いも長い。いつも快適に利用させてもらった。親切な司書さんたちに感謝です。わたしも図書館がすきです。
読了日:8月9日 著者:漆原宏
少女ソフィアの夏少女ソフィアの夏感想
(再)挿絵の二人はいつも後ろ姿。その顔を現実ではないどこか別の方に向けている。他の人物はまるで影のよう。一つの牢獄から別の牢獄に移動したような憂鬱さを引きずるおばあちゃん。ソフィアには憂鬱さはない。彼女には未来がある。物語は、やっぱり美しい。でも期限付きの美しさ。一寸やるせない。
読了日:8月9日 著者:トーベ・ヤンソン
ミラノの太陽、シチリアの月ミラノの太陽、シチリアの月感想
著者が出会った人たちのたくさんの人生。でも、あとから、この本を振り返ったらきっと、人より先に、その入れ物である「家」を思い出すに違いない。読み始めたときには只の箱だった「家」が、一章読む度に感慨深いものに変わる。上質な短篇小説を読んだような満足感。「駅員オズワルド」が特に好き。
読了日:8月7日 著者:内田洋子
わからん薬学事始3わからん薬学事始3感想
設定など、ぶっとんでいると思ったけれど、実は地道な青春ストーリー。着々と成長していく主人公は微笑ましい。でも、意地の悪い私は思う。今後もっと大きな壁にきっとぶち当たるはず。悩むはず。その先にはどんな景色があるのか。それを見たい。「完」では終わらない。これは「始まり」の終りか。
読了日:8月5日 著者:まはら三桃
島暮らしの記録島暮らしの記録
(再)この島は美しいより厳しい寂しい。ヤンソンが求めた「島」はそれ。ムーミン物語も、何度も自然の厳しさに晒されながら、自然と闘おうなんて彼らは考えなかった。天変地異を、まるで波に乗るように、飄々と越えていった。「石を愛する」ヤンソンにとって自然ってそういうものなのだろう。
読了日:8月4日 著者:トーベ・ヤンソン
六つのルンペルシュティルツキン物語 (創元ブックランド)六つのルンペルシュティルツキン物語 (創元ブックランド)感想
『まえがき』で指摘されたおとぎ話の「つじつまのあわなさ」を手玉にとって、自由自在に登場人物たちが踊りまわる。もちろん、物語は変わらない。どこからどこまで「ルンペルシュティルツキン」。…わたしは、四話目の『パパ・ルンペルシュティルツキン』が一番好き。あのコンビ、最強です。
読了日:8月3日 著者:ヴィヴィアン・ヴァンデ・ヴェルデ
八月の博物館八月の博物館感想
三つの異なる物語がやがて連絡し合うようになる。それは予想していた。驚いたのは、その物語の先に四つめ、五つめの物語が隠されていたこと。目がまわる。様々な物が方向のない空間に投げ出されたような感じ。やがて夏は終わる。見なれた風景は、見なれたままにそこにある。去っていく夏が名残惜しい。
読了日:8月2日 著者:瀬名秀明
すばらしいとき (世界傑作絵本シリーズ・アメリカの絵本)すばらしいとき (世界傑作絵本シリーズ・アメリカの絵本)感想
(再)絵でかいた詩。言葉でかいたスケッチ。わずか数分で、メイン州の小島で過ごす家族とともに、夏の空気を胸いっぱいに充填した。これで、もうすぐやってくる再びの猛暑を迎える準備完了。
読了日:8月1日 著者:ロバート・マックロスキー

読書メーター