6月の読書

6月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:5246ページ

ペッパー・ルーと死の天使ペッパー・ルーと死の天使
少し古めの冒険と、くるくる変わる状況と、現代的なスピード感が、ミックスして、飽きさせない、はすです。(でも、わたしはくたびれた^^)案外、人は自分が見たいようにものを見てしまうということ、または、だれかに「このように見てほしい」と望まれるままの見方をしてしまうこと、少々苦く噛みしめます。
読了日:06月28日 著者:ジェラルディン・マコックラン
アトリックス・ウルフの呪文書 (創元推理文庫)アトリックス・ウルフの呪文書 (創元推理文庫)
強大な力を持つ魔法使いが生み出したものは、作り手でさえも、持て余すほどの大きな力を持った。この物語が現実の鏡のように思えて仕方がない。人間の力で制御できないものを、なんで平和「利用」なんてできると思うか。ほっとするのは、城の台所の雰囲気。アリソン・アトリーの『時の旅人』を思い出します。
読了日:06月27日 著者:パトリシア・A・マキリップ
落語絵本―ばけものつかい (落語絵本 (1))落語絵本―ばけものつかい (落語絵本 (1))
なんともキュートなオチであった。大入道の肩たたきがかわいいなあ。うちにも来てくれないかなあ、ばけもの。こきつかいませんから。
読了日:06月25日 著者:川端 誠
落語絵本 まんじゅうこわい (落語絵本 (2))落語絵本 まんじゅうこわい (落語絵本 (2))
こわいものを百倍こわくしてくれる歯ブラシやゴマは、すごすぎる。考えるのも嫌だ。わたしもまんじゅうは怖い。でも一番怖いのはケーキ。ケーキバイキングなんて最強にこわい。ケーキこわいよ。アイスクリームもこわい。チョコレートもこわい。
読了日:06月25日 著者:川端 誠
物しか書けなかった物書き(KAWADE MYSTERY)物しか書けなかった物書き(KAWADE MYSTERY)
法月綸太郎さんは巻末の解説で、この短編集を野球のナックルボールに例えます。なるほどです。どう変化するかわからないし、どこで脱力させられるかも謎なのです。そこかあ、と思うけれど、その着地点があまりに鮮やかで、見事で、やられたぁと、ただ拍手。いっぺんに読むと毒気にあてられそう。ちびりちびり読むのが楽しかった。
読了日:06月25日 著者:ロバート・トゥーイ
ノリー・ライアンの歌ノリー・ライアンの歌
重苦しい物語なのに、夢中で読み切ってしまう。力強くぐいぐいと引っ張られて。その力は怒りの力ではないのだと思う。もっと澄んだもの。歌。生活に密着した民話。父母の笑顔の記憶。飢えに苦しみながら気候とともに移り変わる風景の美しさに息を飲む。不屈の力は、土から瑞々しく生まれ出てくるよう。
読了日:06月24日 著者:パトリシア・ライリー ギフ
夜のサーカス夜のサーカス
物語の中では、サーカスは、いつも何かの始まりだった。でもこの物語では、サーカスそのものを維持することが目的になっているらしい。それがなかなか呑みこめませんでした。これは闘いというより、むしろ二つの力の共同作業のような気がした。微妙なバランスのもとにひとつの世界が保たれている。何かのひな型でしょうか。
読了日:06月22日 著者:エリン モーゲンスターン
ルバイヤート―中世ペルシアで生まれた四行詩集ルバイヤート―中世ペルシアで生まれた四行詩集
完敗でした。文語体は美しいです。そして、この装丁。わかってもわからなくても、この本を持っているって、かなり幸せかも。とはいえ・・・本ですもの、読めなきゃしょうがないですね。背伸びしすぎました。口語訳本を手に入れるのが先。出直します。って、わたし、なにを書いているんだ・・・
読了日:06月20日 著者:オマル ハイヤーム
美しい書物 (大人の本棚 )美しい書物 (大人の本棚 )
美しい本を作る人は文章も美しいです。ことに『室生犀星と私』は、張り詰めたような美しさでした。今まであまり気にとめていなかった装丁だけれど、気にとめないくらいにすうっとこの手になじむ本のありがたさを改めて思いました。「もしかして?」と確認・・・ああ、やっぱり。この本そのものが糸綴じ! 
読了日:06月17日 著者:栃折 久美子
なずななずな
現実には、なかなかありえないこともわかっている。でも、おとぎ話が必要な時がある。背景には心折れそうな問題がある。ジンゴロ先生の「白黒半々」の話のように、この子を抱いて外を見るとき少し心柔らかくなる。そして、生かすために手を貸しているはずの誰かに本当は生かされていると気づく、些細な日々の愛おしさ。
読了日:06月16日 著者:堀江 敏幸
落語絵本 はつてんじん (落語絵本 (3))落語絵本 はつてんじん (落語絵本 (3))
年の初めの参道のにぎわいが楽しい。何より道中の二人の掛け合いが楽しいのです。しかし、この親にしてこの子あり、とはよく言った^^父と息子、という関係が素敵だな。母や娘だったら、ちょっと雰囲気が違うような気がする。母のわたしは、父がちょっと羨ましい、と思ってしまいます。
読了日:06月15日 著者:川端 誠
別れの手続き――山田稔散文選 (大人の本棚)別れの手続き――山田稔散文選 (大人の本棚)
亡き人の思い出を語ったものが多かった。語りながら、一人ひとりの人と丁寧に、山田稔さんは『別れの手続き』を行っていたのだ、と思う。大切な身内、よく知っている(つもりの)知人、束の間関わった忘れられない人。丁寧に語られる別れは、その人と一緒にいた時間と同じくらいの重みを持った大事な手続きだった。
読了日:06月13日 著者:山田 稔
サリーの愛する人サリーの愛する人
訳者あとがき「…怖気づくことなく、思慮深く誠実に生きていくにちがいありません」に頷く。そう、怖気づくことなく…だから、ここで安心して見送れる。(ほんとはこの先の彼女の人生を見てみたいけど。)サリーが生き生きと輝くのは、彼女の故郷ドニゴールにいるとき。どこで暮らしたとしても、この土に生かされてきたことを忘れない。
読了日:06月12日 著者:エリザベス・オハラ
ネジマキ草と銅の城 (世界傑作童話シリーズ)ネジマキ草と銅の城 (世界傑作童話シリーズ)
王の命を繋ぎとめるという幻のネジマキ草は間に合うのか、まじない師の冒険の旅の行方、夜ごと語られる入れ子の物語、王を見守る動物たちの輪、そして、王国の歴史・・・その外には大きな、太古から未来まで変わることなく広がる海がある。壮大で、ささやかで、温かい物語でした。
読了日:06月10日 著者:パウル・ビーヘル
あなただけのちいさないえあなただけのちいさないえ
「ひとは だれでも、そのひとだけの ちいさないえを もつひつようがあります」大人もおうちを持っているそうです。子どものおうちとは形が違うので、わかりづらい時が多いけど。大抵は「ひとりでいる時間」という形。誰かが自分のおうちに一人でいるのを見たらどうしたらいいか、ということも書かれている。
読了日:06月09日 著者:ベアトリス・シェンク ド・レーニエ
みょうがやど (落語絵本)みょうがやど (落語絵本)
文章も絵もみょうが尽くしが楽しい。オチを知っていたって、何度も何度も聞きたくなる、わくわくしながら期待する。それが、落語なのだろう。巧みな語りをそのまま文字にした絵本。今夜はみょうが食べよう。どう食べよう。
読了日:06月09日 著者:川端 誠
灰色の季節をこえて灰色の季節をこえて
強い力でぐいぐい引っ張られるように読んだ。この死の牢獄から解放されたあと、人は、自分に遺された物の中から、何を選ぶのか。生きる、ということは、なんと厳しくなんと力強く、醜いものなのだろう。だけど、がむしゃらに、ただ生きる、生かす、生きのびる・・・これだけが、命あるものの、究極の善なのかもしれない。
読了日:06月08日 著者:ジェラルディン・ブルックス
さりながらさりながら
さりながら・・・この言葉のあとにきっと後の世があるはずなのだけれど。「私」の旅は、最後に、阪神淡路大震災の神戸に辿り着きます。ほとんど意識しないでも、ここに2011年3月11日が重なってきます。「さりながら」という言葉の先には、ほんのかすかでもいい、明るい何かがあってほしい。
読了日:06月06日 著者:フィリップ・フォレスト
猫の王国 (大人の本棚 )猫の王国 (大人の本棚 )
生きて血の通う者たち(動物でも人でも)と面と向かって付き合おうとするとき、思いがけず、自分の知らなかった面(意識して隠していたのかも)に出会って驚くこともある。相手の中に自分をみているのかもしれない。もしかしたら、それを確認するために、人や動物と出会ったり別れたりしているのかもしれない。
読了日:06月04日 著者:北條 文緒
ご老人は謎だらけ 老年行動学が解き明かす (光文社新書)ご老人は謎だらけ 老年行動学が解き明かす (光文社新書)
老年行動学、初めて知りましたが、言われてみれば…と知ったこと、思い当たったこと、頷けることばかりでした。思ったことは、老人が元気であれば、若い人たちも元気でいられるということ。老人が活き活きした社会は、若い人たちも活き活きした社会なのだということです。私も『まことの花』を咲かせられる老人を目指そう。
読了日:06月02日 著者:佐藤 眞一
日本児童文学名作集〈下〉 (岩波文庫)日本児童文学名作集〈下〉 (岩波文庫)
そうして、このあと60年以上が過ぎました。この本の続きがもう一冊できあがってもよいくらいに、ずいぶんと児童書の世界も変わったなあと思う。現代の児童書は、この本の一番新しい作品とは、文体も違うし、児童書としての意味も、きっとちがっているのではないかな。この本の続きを20篇選ぶとしたら、誰の何を入れましょうか?
読了日:06月01日 著者:桑原 三郎,千葉 俊二
日本児童文学名作集〈上〉 (岩波文庫)日本児童文学名作集〈上〉 (岩波文庫)
福沢諭吉の『イソップ物語 抄』(1880頃?)から始まって、「赤い鳥」のころまで。古い順に収録された子どもの物語を順に読むことは、体験型の児童文学の歴史でした。文体も内容も、ずいぶん変わってきました。明治の子は「幾星霜をや経たりけん」なんてのをさらさら読んでいたのね。『こがね丸』の挿し絵はすごくて笑っちゃう。明治の仕掛け絵本も楽しい。
読了日:06月01日 著者:

2012年6月の読書メーターまとめ詳細
読書メーター