6月の読書

6月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1429

嵐にいななく (児童単行本)嵐にいななく (児童単行本)感想
主人公たちが自信をもって歩きだすまでを、喜ばしい気持ちで読み、これでおしまいでいいと思った。でも、それだけじゃなかった。白黒の絵に、ふいに色が溢れたよう。こみ上げてくる思い、言葉がたくさんあるのだけれど、これ以上は駄目、言えない。ああ、もう一度最初から読み直さなくては。
読了日:06月28日 著者:L.S. マシューズ
天国の南天国の南感想
着々と進行する陰謀、悪事の実態を知りたくて夢中で読んでいたけれど、何よりも、物語の背景に魅了されていた。西部の大平原の広大さ。キャンプはゆっくりと移動していく。集まってくる胡散臭い労働者たちのむんむんとした熱気を乗せて。実際死と隣り合わせの殺伐とした職場なのに、おおらかな解放感に、気持ちが高揚する。
読了日:06月25日 著者:ジム・トンプスン
遠い唇 (角川文庫)遠い唇 (角川文庫)感想
「謎と解明の物語を中心にまとめ」られた短編集であるが、同時に、再会の短編集でもあると思う。『八月の六日間』の朝美、『冬のオペラ』の名探偵と記録者、江戸川乱歩の『二銭銅貨』に、時や形を変えての再会。好きなのは『遠い唇』と『しりとり』で、もう二度と会えないはずの人にずっと後で再会できたことの幸福をしみじみと味わう。
読了日:06月20日 著者:北村 薫
みすず2020年06月号みすず2020年06月号感想
連載『戦争と児童文学』第12回 「歴史の暗闇に眠る魂への旅 三木卓『ほろびた国の旅』」(繁内理恵)を読む。「記憶の底に積み重なる死に向き合う旅」「その死に繋がる自分と国家をめぐる記憶の旅でもある」私自身も旅が必要だ。目をそらしてきたこと、おじけて引いてきたことなどに、なぜ、どうしてと、問い直してみなくては。
読了日:06月16日 著者: 
ほろびた国の旅 (1973年)ほろびた国の旅 (1973年)感想
1954年、高校を卒業したばかりの三木卓青年は、幼馴染ともみ合いになり、気がつけば、そこは彼らが幼い頃に暮らした満州の大連だった。卓が敬虔した満鉄あじあ号での旅は「ぼくの美しい思い出をつくるために、どれだけの人びとがその犠牲になっていたか」ということに気がつく苦い旅になってしまった。
読了日:06月15日 著者:三木 卓
国語 5 [令和2年度] (文部科学省検定済教科書 小学校国語科用)国語 5 [令和2年度] (文部科学省検定済教科書 小学校国語科用)感想
『たずねびと』(朽木祥)を読む。綾が、14万人の死者の中から、かけがえのない一人としてのアヤちゃんを見つけ出そうとすることは、誰も覚えている人のいなかったその人が、新たな身内を見出すことでもあると思った。「アヤちゃん、よかったねえ」が心に残っている。
読了日:06月12日 著者: 
わたしのいるところ (新潮クレスト・ブックス)わたしのいるところ (新潮クレスト・ブックス)感想
このリズミカルな小さな物語の集まりをちょっと離れたところから見れば、ゆっくりと登ったり下ったりして、一続きの大きな物語になっている。大きな物語が、外に向かって気持ちのよい風を吹かせながら終わっていく感じが、いいなあ、と思う。「わたし」はいつもひとり。「わたし」のまとう「ひとり」が気持ちいい。
読了日:06月07日 著者:ジュンパ ラヒリ

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