『魔法使いハウルと火の悪魔 』 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

近頃気になっていたダイアナ・ウィン・ジョーンズという名前。
初めて読む本は、ジブリの映画の原作として話題になっているこの本にしました。

とてもおもしろかったです。
登場人物がそれぞれ魅力的で、いちいち書いたらきりがないくらい。
主人公ハウルはもちろん、カルシファーやかかし、犬人間、物言いたげな頭蓋骨。
小道具も魅力的。動く城の、あちこちに通じている扉や、それぞれ異なった風景が見える窓。七リーグ靴はうちの寝坊助娘が欲しがっています。(学校へ行くのにとても必要らしい。)
物語のテンポのいい展開。まるでジェットコースターに乗っているような感じで、「きゃあーっ」と言ううちに、あらら、もう終わってしまいました。
何も考えずに物語に乗って気持ちよく滑っていくような感じがかなり快感でした。
本当に飽きさせることなくいろいろな風景を見せてくれました。
終わりの方、ちょっと展開が早すぎない?と思ったのですが、ジェットコースターだから、いいかあ。(だけど、この物語にあの文体はなじめませんでした。なんとなくモタモタした感じで、物語にブレーキをかけているような。常体のもっときびきびとした文の方がいいなあと思ってしまいました)

ソフィーが、18歳の女の子から90歳のおばあさんに姿が変わった途端、性格までかわってしまって、あのばっさばっさと動く行動力が小気味良かったです。
そして、ハウルとソフィーの会話がおかしくて、気持ちよく笑えました。
・・・だけど。美しい娘がいきなりあの姿になって、あんなふうに冷静に、次の自分の行動を考えられるものなのでしょうか。ちょっとひっかかりました。
ついでに、何かと言えば「長女だから」って、いつまでも。へーん、わたしだって長女だい!

こういう話は、途中で先が読めたりして、それなのに作中の人物がいつまでも気がついていないことにはらはらしたりするものがあるけれど、
この話は、ハウルの本音が最後まで読めませんでした。すごくうまく隠されていました。

文句なくみんな納まるところに納まるハッピーエンド。すかっと気持ちよかったです。