『マツの木の王子 』 キャロル・ジェイムズ

マツの木の林の中に決して生えてはいけない白樺の木が生えてしまった。
マツの木の王子とシラカバの少女のせつない恋の物語。

はかない一生のうち、ひと時も相手のことを思わないことはない、
唯、ただ、相手と離れることなく一緒にいたい、それ以上の望みはない。
けなげな献身的な愛の姿に、まわりのものたちも、人を思いやることでやすらぎとよろこびを得ることができることに気づいていく。

マツの林にただよっていく美しい煙と青い空が印象的でした。
静かに満たされていくこのやすらかな思い。
この本はあとからしみじみと利いてくるような気がします。

長いあいだ絶版になっていた本だそうです。
たくさんの人が「もう一度読んでみたい」と願い、復刊の運びになったそうです。
「もう一度読みたい」・・・わかる気がします。