たったひとつの冴えたやりかた

たったひとつの冴えたやりかた 改訳版

たったひとつの冴えたやりかた 改訳版


初めての子がおなかのなかにいたときに出会った「妊娠中は、一生のうちで唯一孤独でない時間」という意味の言葉を、この本を読んでいる間、すごく久しぶりに思い出していた。


主人公コーティとシルのちょっと(いや、極めて)変わったコンビがとても素敵で、こんな相棒だったら、二人きりで広大な星の海に乗り出しても寂しくないと思った。
好奇心旺盛な行動派のコーティと、控えめで素直なシルと。ふたりともとても良い子なんだ。
あっというまに仲良くなってかけがえのない親友に変わるのに時間はいらない。
このままどこまでもどこまでも、一緒に旅ができたらよかったのにね。


16歳になったばかりのコーティ。

>連邦基地九〇〇の指令は、黄色い髪が中央展望通路をひょこひょこ遠ざかっていくのを見送る。
この一文が、私の前にコーティが姿を現した一番最初。そして、わたしのコーティに対するイメージが像を結ぶ一番最初であった。
なんて可愛らしいんだ。まだほんの子どもなのだ。
このイメージが最後にもう一度浮かび上がってくる。
二人がかわした会話の数々が、蘇ってくる。
送り合った温かい念が、蘇ってくる。




*ネタバレの一言感想*


こんな形で子どもが英雄になるなんて・・・なってほしくないのだ。
あのときああすれば、とか、こうすれば、とか・・・何を言っても今さらである。
たったひとつのやりかた・・・これしかなかったのだよね。それでも、「冴えたやりかた」なんて言われたら、たまらないではないか。
大人としての無力感、悔しさは半端ではない。