- 作者: 野尻抱影,池内紀(解説)
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2011/12/09
- メディア: 単行本
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古き良き冒険活劇、という感じ。
17世紀から18世紀にかけて、ダーティなヒーローが活躍する「悪党モノ」というべき読み物があったそうである。
この本の主人公は盗賊にして脱獄の名人ジャック・シェパード。
敵役は総理大臣に仕える秘密警察で盗賊密告係という役職に就くジョナサン・ワイルド。
ワイルドが公職に守られながらも、どこからどこまで不気味で陰険な悪党であることから、
盗賊でありながら、友情に篤く一本気なジャックは、民衆の人気者になっていく。
子どもの頃、夢中になって読んでいたルパン全集(南洋一郎さん翻訳の)を思い出す痛快さ。
ところどころ、「え、いつのまにそんなことが?」と思ったり、「あっちは放っといていいのかな〜」と思ったり。
でも、いいんだ。
いかようにだってつじつまはあうのだ。
(でも、そこのところ、もうちょっと語ってほしかった、というところはいくつかあったさ^^)
ワイルドのずるさと、その胸元に思い切り飛び込んでいくジャックのふてぶてしいまでの度胸がおもしろい。
そして、監獄の見張りのゆるさや、手配中の盗賊が白昼堂々と市中に現れるのどかさが楽しいのだ。
獄中に繋がれたジャックのところに面会に訪れた大勢の人たち(この面会の規定のゆるさも可笑しくて笑っちゃうのだけれど)の中に
ダニエル・デフォーやジョン・ゲイのような文学者、ソーンヒルやホガースのような当時売れっ子の画家(ほんとにいた人なのね^^)が
顔を連ねたりするサービスがとっても好きだなあ。
ちょっと古くてのんびりとした冒険活劇を楽しみつつ、18世紀イギリスの町や田園、森などにも思いを馳せています。
巻末の池内紀さんの解説にガイドしてもらいながら。