3月の読書

3月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2859
へろへろ 雑誌『ヨレヨレ』と「宅老所よりあい」の人々へろへろ 雑誌『ヨレヨレ』と「宅老所よりあい」の人々感想この本、軽口の連続、でも油断できない。あちらにもこちらにも爆弾、いや、宝が埋ずまっているのだから。人が老いていくことの可視化。安心してぼけていいよ、と言いたい、言われたい、思いたい。恐ろしく忙しいはずなのにこの緩やかな「遊び」は何だろう。大きなエネルギーが押し寄せてくるかと思えば、「ケ・セラ・セラ〜なるようになるわ〜」と歌声が聞こえる。


読了日:03月30日 著者:鹿子 裕文
ママ・アイラブユー (新潮文庫)ママ・アイラブユー (新潮文庫)感想軽快な音楽が聞こえる。軽快に踏むステップのリズムが聞こえる。大人と子どもの胸の内で、きらめいている妖精じみた少女がくるくると踊っている。それは楽し気に。だけど、楽し気なのは、楽しいこととは違う。少女は訊く。「人生ってなあに?」 物語にさっくりと混ざった少しビターな味わいが、余韻となる。
読了日:03月29日 著者:W. サローヤン
年月日年月日感想ただ一本のトウモロコシ。自分一人では育つこともできない、一日だって生きながらえることもできないこの植物はいったいなんなのだろう。最後に、それが分かるような気がする。命あるもののなかに宿るもの、命から命へと渡されていく輝くもの・・・しばらくは、黙って表紙の絵を見ていたい。(それにしてもメナシの健気さが切なくて)
読了日:03月28日 著者:閻連科
大人に贈る子どもの文学大人に贈る子どもの文学感想 すでに七十年も前から、錚々たる児童文学者たちは「児童書は子どもだけではなく、大人にとっても非常に価値のあるもの」である、ということを繰り返し書いている。それなのに、いまだに、こういう本が書かれるほどに、今日、大人にとっての児童文学が、受け入れられない。この本は、児童書を未踏の地とする人にとっての宝のありかを示した地図だ。読了日:03月26日 著者:猪熊 葉子
バルバルさん (こどものとも絵本)バルバルさん (こどものとも絵本)感想バルバルさんはとこやさん。「まいにち たのしく はたらいて」いるのがいいなあ、と思う。次々の変わったお客の変わった要望が楽しくて、お客さんを大切にするバルバルさんの応じ方が素敵。バルバルさんの顔の表情の変化は、あるかなきか、というくらいに、控え目に描かれているのがよい。絵本の色合いは全体的に青だけれど、なんだか暖色のような気がする青で、不思議。 読了日:03月15日 著者:乾 栄里子
さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)感想この作品を手に取ったきっかけは、スピンオフ作品『運のいい日』を先に読んだため。登場人物たちのことをもっと知りたくなってしまったのだ。ショッキングな設定にもかかわらず、感じるのは、苦い共感。これは、(心の中の)親殺しの物語。事件は解決するが…なんとまあ、大きな引き出しをひっくり返してくれたことよ、と思う。続きが気になって仕方がない! 読了日:03月14日 著者:バリー・ライガ
海炭市叙景 (小学館文庫)海炭市叙景 (小学館文庫)感想海炭市住む(あるいは一時的に立ち寄った)人々を素描風に描いた短編集。イメージは、冬の曇天。先行きは明るくない。閉塞感の中、もくもくと暮らす。『まだ若い廃墟』の「六時間」が心に残る。海炭市からずっと離れた小さな町で、わたしも同じように暮らしている。 読了日:03月12日 著者:佐藤 泰志
ペーパーボーイ (STAMP BOOKS)ペーパーボーイ (STAMP BOOKS)感想この時代の美しい平和な風景は、黒人の苦痛と白人の蔑みとを当たり前とする空気によっても、支えられていたのだ。人種差別、吃音、言葉、偶然知ってしまった秘密。沢山の解決しない問題を抱えながら、むしろ抱えていることに誇らしく胸を張りながら、少年は成長する。その姿を見ていると、もやもやすることはたくさんあるけれど、明日はきっと良い日だ、と信じたくなる。 読了日:03月09日 著者:ヴィンス・ヴォーター
双眼鏡からの眺め双眼鏡からの眺め感想どきっとするものもあったし、なかには少しばかり気味が悪いものもある、時々、茫然としたりも。34の作品はほんとうにさまざまだ。でも、どの作品も、主人公たちは、それぞれの人生をなんとかやっていこうとしている、誰の手にもつかまろうとせずに。その姿はときどきとてもカッコ悪くて、とても素敵だと思う。わたしの愛おしい隣人たちだ。 読了日:03月08日 著者:イーディス・パールマン,Edith Pearlman
三月ひなのつき (福音館創作童話シリーズ)三月ひなのつき (福音館創作童話シリーズ)感想おひさなまって、形ではない、こういう思いのことなのだ、と思う。それは、おひなさまだけではない。おかあさんは、日々、心込めて、丁寧にていねいに暮らしてきたのだろう。そういう暮らしを想像し、その清々しい美しさ、豊かさにほっと息とつく。一方、間に合わせや、がさつで雑な思いも、ほどよく受けいれながら、なおかつ、豊かでいることはできないかと思う。 読了日:03月02日 著者:石井 桃子
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