3月の読書メーター
読んだ本の数：6冊
読んだページ数：1636ページ
ラウィーニア
起こるべきことを運命として受け入れ、ただ一人「生き続ける」ことはどんなに気が遠くなるほどの忍耐力と意志の強さが必要だろう。束の間の平和の風景はあまりに美しくて、全篇の隙間に漂います。そのせいか、血生臭い戦いの場面が多いのに、この本からは、調和と静かな美しさを感じました。
読了日：03月09日 著者：アーシュラ・K・ル=グウィン
かべ―鉄のカーテンのむこうに育って
失ったものを取り戻すことはとてもとても難しいのに、いつのまにか、それを忘れてしまいそうになる。忘れてしまうことも赦される自由は、勝ち取って得たものだｓったのに。みんなおそろいの豚の顔になることでしか生き抜いていけない世界で、青年のあこがれは羽に乗り、かろやかに壁を越えていく。やりきれない場面でした。
読了日：03月08日 著者：ピーター シス
わたしは英国王に給仕した (池澤夏樹＝個人編集 世界文学全集 第3集)
無理を無理やり（？）通すためには、かなり奇妙なこともまかり通るし、まるで催眠術にかかったように、白いものが黒く見えたり黄色くも赤くも見えたりもするのかも。そうしたら、深刻な悲劇だと思ったものが実はとんでもなくばかばかしい喜劇かもしれません。次々に来る「信じられないことが現実となった」は楽しかった。人生、おもしろいなあ。
読了日：03月05日 著者：ボフミル・フラバル
戦争と平和〈3〉 (岩波文庫)
人と人とが関わり、愛したり憎んだり、ぶつかったり離れたり・・・翻弄し、翻弄され、大きく動いていきます。えっ、そういうことになったの？とびっくりの連続で、狂想曲って感じの第三巻でした。そのなかでピエールの落ち着いた誠実さが頼もしく好感を持ちました。今まで彼の不器用さや意志の弱さばかり目についたのに。
読了日：03月04日 著者：トルストイ
ム−ミンパパ海へいく (ムーミン童話全集)
暗くまがまがしいものへの不安と、美しいものへのせつないほどの憧れがぐるぐると混ざり合った不思議な世界でした。ムーミンパパのシルクハットと、灯台の明かり。どちらもなくしてはいけないもののような気がします。
読了日：03月02日 著者：トーベ・ヤンソン
生まれてバンザイ
ジグソーパズルのピースのように寄り添い、木馬のように揺れていた、あの日々は遠くなりました。子どもは大きくなりました。だけど、あんたたちに会えてよかったよ。わたしの子になってくれてありがとう。この本を閉じたとき、素直に言いたくなりました。
読了日：03月01日 著者：俵 万智
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