ツクツク図書館 紺野キリフキ メディアファクトリー ★★★ |
>つまらない本。使えない職員。おかしな小部屋。
お役所のひとが検査をしたら「図書館失格」の烙印を押されるのは間違いないだろう。
事実この図書館を作った者は、そんなまともな図書館を作る気などなかった。
誰かの役に立つつもりなど一切なかった。
なんなんだ、このばかばかしい本は。
図書館なのに、利用者がほとんどいない。「つまらない本」ばかり集めた図書館だから。どんなつまらない本だって、ちょっとくらいは惹かれるところもあるだろう、なんて、あまーい!とことんつまらない本しかないのでした。
しかも変な職員。誰も読まないこのつまらない本を「読む」ことが仕事だなんて。
ここはつまらない本ばかりの図書館だから、この図書館が閉館するときは「面白い」本があらわれたとき。利用者がふえたとき・・・
変です、ほんとに変な本。
シュールでとぼけていて・・・なんだこりゃ!
それでも、惹かれます。だって図書館すきだもの。つまらない本でも本は本。本読むのが仕事だなんて極楽じゃないか、つまらない本だって、活字は活字♪
それに、あののほほんとした雰囲気。着ぶくれ女はこわいけど。見ている分にはおもしろそう。
迷路みたいな、どこにつながっているのかわからないたくさんの小部屋も楽しそう。
あまりに「つまらない、つまらない」と言われると、むしろ「おもしろい、おもしろい」と思ってしまいます。
物語の形態も変わっています。
短編でも長編でもない、連作短編と呼べるほど一章一章が整理され分割されているわけでもないし。とりとめのない漫画みたいな感じ。
非常にばかばかしい話ですが、つまらなくはないです。決して。いや、たぶん。
奇妙なまったり感が、ブラックな話題さえ、「ほのぼの」に変えてしまいます。
頭をからっぽにしてなぁんにも考えずにのほほんと読むのがこの本の正しい読み方かもしれません。
そして、読後に何か残るだろうと思ったら、まず裏切られます。
あ、この本、とりあえずツクツク図書館にはおいてないでしょう、ね♪