The Shakespeare Stealer

The Shakespeare Stealer / Gary Blackwood(著) / Puffin Books


舞台はイギリス。時代は16世紀、シェイクスピアが現役で活躍していた頃。
主人公Widge少年は、孤児院で育つ。7歳の時、Dr.Brightに引取られ、徒弟として彼の元で、彼が考案した速記術を学ぶ。
14歳のとき、その速記の腕を見込まれて、新しい主人Symon Bassに買い取られる。
新芝居「ハムレット」の舞台を速記して書きとめ、そっくり「ハムレット」を盗むために、ロンドンへ送られ、役者見習いとして劇団Groave座にもぐりこまされる。
劇団のメンバーに家族のように迎えられたWidgeは、初めて、本物の友情を得て、初めて人間として扱われることになる。これまで温かい扱いを受けたことのない彼だったが、少しずつ変わっていく。
しかし、彼が与えられた任務は、劇団に対する裏切り。彼をずっと見張り続ける残酷な男Falconer。Widgeの心の揺れ。

文句なしのおもしろさ。言葉だけは知っていたけれど本当はわかっていなかった言葉達――信頼、友情、家族…これらの言葉の意味をどのように見出すかは人それぞれで違うだろうが、自分にとって本当に大事なもの、本当にやりたいことをみいだして行くことで、人生の意味も変わってくるのではないか。
シェイクスピアの時代の劇団のあり方や、作家の著作権(と言っていいのかな)をどうやって守ったのかなど、興味深いものがあった。
あっとおどろくラストも用意されていて、最高の読後感でした。

ただ、かなり読みにくい本ではあった。文章がたぶん古風なんでしょう。比喩的な言い回しも多く、表現にわかりにくいところがあります。
Widgeの田舎訛りには悩まされました。
最初はさっぱりわからなくて…苦労しました。
あとになって、パズルをつなぐように少しずつ理解できるようになり気にならなくなりました。
必死で、方言を矯正するWidgeですが、ときどきぽろっと訛りがでてしまうところがかわいい、と最後のほうでは思えるようになりました。