『あぶくアキラのあわの旅』  いとうひろし

おふろで変な石けんを使ったせいで、あぶくのかたまりになってしまったアキラ。お湯と一緒に下水に流され、ドブネズミたちの住みかへ。
元の体に戻るためにドラドンという怪物の宝物の中から雨がっぱを盗ってこなければなりません。
ドブネズミのハラヘラシ、モグラのオオブロシキ、フクロウのオセッカイと協力しながら、ドラドンの洞窟をめざします。

泡人間、というのがおもしろいです。仲間それぞれのキャラも個性的で、なかなかいいです。
途中、さまざまな冒険をしながら進んでいくのですが、この冒険がスリリング、というよりはどことなくとぼけていて、おかしいのです。
強大な力を持った悪役にも、悪役なりの悩みや苦しみがあるところが、妙に親しみをもてました。
みんなにとって平和な結末がいいです。
最後のカエルの恋物語は笑えます。憎めないキャラでした。

 弱い子、愚図な子、ひ弱な子。そうなのかな、本当に。自分の力を思うように使いこなせないで、少しだけ困っている子に、「だいじょうぶだよ」と言ってくれているような気がします。