スコープ少年の不思議な旅

スコープ少年の不思議な旅

スコープ少年の不思議な旅


そこに小さくなった自分がいることを容易に想像できるのがドールハウスかもしれない。
空想がいりまじったとしても、今自分がいる世界から続いているような気がする。
だけど、この世界は、どうだろう。


スコープ作品、とはどういうものなのか・・・説明するのは、面倒^^
いいえ、説明するにはあまりに難しすぎるのです。・・・こんなの見たことないんです。
何に似ているんだろう・・・
見かけは、レンズのついた、それはそれは美しい真鍮の箱なのです。掌に載るくらいの大きさの見事な工芸品。
何か世紀末的で、秘密っぽくて、上品な匂いのする箱。
箱についたレンズからのぞけば、そこに見えるるのはものすごく小さなミニチュアの世界なのです。
あまりに複雑で、異常(?)なくらいに手が込んでいて、緻密で・・・
見かけは・・・決して一言ではいえない。
光の当てかた(箱に光を入れたり塞いだりできる穴がある)などから、一つの作品が驚くほどに姿を変える。
光の加減で、劇的なくらいに一つの世界は姿を変えるのです。
それを、凸レンズを通して覗くと、視界が歪み、さらに独特の景観に変わるのです。
とても不思議で美しくて、そして、引きこまれずにはいられません。
興奮しないではいられない。
こうして書きながらも、うまく説明できないのがもどかしい。百聞は一見に如かず、です。


レンズの先にあるのは、おそろしく小さな部屋の一角ですが、そこには必ず表現される物語(空気、かな)がある。
それはとても微妙で、しかも、何も生きたものはいないのに、生きたものがいる気配がちゃんとある。
何かのストーリーが、着々と進んでいて、私が今覗いている世界は、そのストーリーの一部なのだ、と思う。
さらにいえば、この世界に対して、私が果たす役割は単なる傍観者でしかない、ということ。
この世界を共有することは、拒絶されているように思う。この空気はこの箱の中だけで完璧にできあがっている。
これからどういう物語が展開されたとしても、決してここに参加することはできない。
でも、それが不満ではない。
いつまでも息をつめて見守っていたいような、または見ているのが怖くなるような(だけど何が怖いというのか)
あやしく不思議な空気感なのだ。


箱の中には、窓があり、鏡があり、扉がある。
そして、その先に、世界がある。もしかしたら、この箱の中の部屋は、次の世界への入り口なのかもしれない。
その世界をちらりと垣間見せてくれるに、これはなんて絶妙な箱なのだろう。
人の手で・・・つくられたのだね。それもたった一人の人の手で。
つくった、というより、旅なのだろうな。やっぱりスコープ少年の旅、そしてもちろん、これはその途中なのだ。