- 作者: トルストイ,藤沼貴
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/03/16
- メディア: 文庫
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第二部第三篇・四篇・五篇。
やっと半分。折り返し地点まできました。覚書き。
人と人とが関わり、愛したり憎んだり、ぶつかったり離れたり・・・翻弄し、翻弄され、大きく動いていきます。
狂想曲って感じの第三巻。
アンドレイの婚約にはびっくり。
作中人物たちもかなり振り回されていますね。
ぴりぴりする父親に振り回されながらじっと耐えるマリアの姿は、みていられなかった。
変わり者と言われるボルコンスキー老公爵だけれど、頑固そうに見えて案外細やかに身内の身を案ずる孤独な父親だと思っていたんだけど。
二巻までの、アンドレイを戦場に送り出すときの言葉や、マリアにプロポーズするために訪れたワシーリー親子への態度などから。
いや、確かに変人。ひねくれもの。
自分の気持ちを押し籠めて、神に忠実にあろうとする聖女のようなマリアの態度には、いじらしいよりいらいらしてしまった。
(幸せになってほしい人なんですけどねえ)
ひたすら幸福を追求し、今の今を全力で楽しもうとする快活なナターシャとは正反対。
ナターシャの天真爛漫さが素敵だな、と思っていたのですが、そのせいで身に降りかかったことには、すごくはらはらさせられました。
ニコライの決意には、おお、とうとう、という感じですが、足元がおぼつかなくて、危なっかしいこと。
ソーニャ、けなげ。すがすがしく強いなあ。
この巻では、ことにピエールの落ち着いた誠実さが強く印象に残りました。今まで彼の不器用さや意志の弱さばかり目についていたのにね。
好きな場面。ロストフ家のオオカミ狩りのあと、おじさんの家に立ち寄る場面です。
貴族(ですよね)なのに、朴訥とした温かいもてなしが素敵で、なんて居心地がいいのだろう、とすっかりくつろいでしまいました。