空の飛びかた

空の飛びかた空の飛びかた
セバスティアン・メッシェンモーザー
関口裕昭 訳
光村教育図書


「ぼく」は空を飛びたいペンギンを手伝うことになった。


事前研究、体力つくり、飛行訓練・・・
だけどペンギンは飛べませんよ・・・そう思っているからこの二人の努力がおかしいのです。
おかしいんだけど・・・
努力につぐ努力をする二人の背中に漂う共通の哀愁があるのです。


けなげに努力しているのはなんのため? 飛ぶため?
「ぼく」は、ペンギンのために。ペンギンの実現見込みのない望みに寄り添っているから。
ペンギンは、「ぼく」のために。自分のために一生懸命になってくれる「ぼく」の気持ちを大切に思っているから。
でも・・・


二人のやさしさと漂うあきらめムードのようなものが、哀愁となって漂っています。
なんだ、二人とも背中がそっくりじゃないか。
飛びたいのはペンギンじゃなくて実は「ぼく」だったんじゃないか。


だけど、ペンギンは飛べませんよ・・・
ほんとうだろうか・・・
ほらね、やっぱり飛べないでしょ、でいいんだろうか・・・
この最後が好き。