ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係

ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー 生きもの)ハダカデバネズミ―女王・兵隊・ふとん係
吉田重人・岡ノ谷一夫
岩波科学ライブラリー
★★★


なんなんだ。これは。こんなへんてこな生き物がいるなんて。
つるんつるんの皮膚と長ーい門歯。あんなにへんてこなのに、もにょもにょとした動き(?)が奇妙にかわいい。ああ、「きもかわいい」と言う言葉は君達のためにあるのだろうか・・・ハダカデバネズミ

外観もかなりかわっているのですが、その社会に、びっくりです。
ネズミなのに、蜂やありのようなカースト制のもとコミュニティが作られているそう。。女王(繁殖担当)がいて、働きデバや兵隊デバがいて、自分の役割をしっかり果たしている。
定期的に女王の巡回があり、さぼっているとどやされる、なんて言われたらもう自然に顔が笑ってしまいます。さらにですよ、「どやされた個体は『服従のポーズ』をとり、反省の意を示す」なんて書いてあるんだもん、噴出してしまう。この写真がおかしい。これか、反省のポーズは。(爆笑)

ふとん係――肉ぶとん、という言葉が出てきたときには絶句。でも、あたたかそうです。共同体が全部女王の一族と言うことですもの、親戚のおじさんおばさんたちのスキンシップであかちゃんは育つのですねえ。ほのぼの。

この不思議な哺乳類を日本で初めて飼育した千葉大学の研究チームの努力に感服しますが、どことなくほわーんとした空気が漂っているように感じて。だって、

>「先生・・・こんなのが録れてしまいました」
「どうした?」
「デバが、・・・うたいました」
・・・って。これ、なんですか?
歌う? 歌うって・・・何なの? 
・・・彼ら、何種類もの音声をもっているらしいのです。求愛の歌なのか?はたまたコミュニケーションに役立てているのか?こちらはまだまだ研究途上にあるらしいのですが。

次から次へとでてくる不思議な生態に「へえーっ」と驚くと同時に、この姿・・・ああ、彼ら真面目(?)にやっているんだ、と思い、わるいわねえ、と思い、でも、やっぱり笑ってしまうんです。
文章も砕けていてフレンドリー。もちろん、敷居の高い学術書でなどありません。いいんだよ、ささ、笑いなさい、と言ってくれているような気がして、ほのぼの笑っています。

これはもう実物が見たくて見たくて・・・幸いなことに動物園で見られるんですってよ! 上野動物園にもいるそうですから、いつの日かオメモジすることもあるでしょう。覚えておきましょう♪