『ムーン・ジャンパー』 ジャニス・メイ・ユードリー/モーリス・センダック

ムーン・ジャンパー

ムーン・ジャンパー


美しい絵本だった。
忙しく活動する人たちが、一息つく夜の時間。
空気さえも、昼間とは全く違う成分に変わってしまったようだ。
かぐわしく、しめって、ものみなすべての輪郭が滲む。柔らかい空気が包み込んでいるようだ。
ああ、きっと「夜」が魔法をかけているんだね。
夜の魔法に誘われて子どもたちが庭に出てくる。
月明かりに照らされて遊ぶ子どもたちの姿も夜に滲むようでやわらかい。
ふわふわとまるで妖精みたいに遊ぶじゃないか。なんて楽しそうなんだろう。わたしもそこにまざりたい・・・


家の中。窓辺に両親がすわっている。
今日の仕事が全部終わったこの時間。きっとこの時間が好きだ、と思っている。
月明かりの庭でひらひらと跳ね回る子どもたちの影が窓をよぎっていくのを、風景の一部のように感じているのだろう。
子どもたちの仲間に入れないなら、私は彼らの両親になろう。寝るまでのしばらくの時間、ここにすわろう。