お父さん、牛になる

お父さん、牛になる (福音館創作童話シリーズ)

お父さん、牛になる (福音館創作童話シリーズ)



日曜日の朝、お父さんが牛になっていた。
それも、畳の上で。
という文章から物語は始まります。
テンポのよい文章、親近感ありすぎて思わず笑ってしまう会話。
楽しい物語が始まった。


と、思った。
だけど、これは、かなり深刻な話ではないか。
毎日こつこつ仕事して、だからといって感謝もされず、
でもやっぱりコツコツと続けるしかない、毎日毎日。
そんな日々…
ふっと、牛になりたい、と思うことがあっても不思議はない。
牛になったお父さん(お母さん、お兄さん、お姉さん…)、ほかにもいるかもしれないよ。


家族が牛になったらどうしよう。
牛を囲み、いっぱいいっぱいの家族、
だれにも相談できず孤立していく家族…
いったいどうなるのか、
どうしたらよかったのか。


当たり前だと思っていたことは当たり前だったのだろうかな。
何かきっかけがなければ、こんなふうには考えないよね。
だけど、考え直すきっかけが、お父さんが牛になったからだった、なんて、
あまりに悲しいじゃないか。
これは、人ごとではないのではないだろうか?


おばあちゃんの登場、その後の行動にかなり驚いた。
ありなんだ…
こういう受け止め方もありなんだ。
素敵過ぎて、まいった。
嫁は勝てないよねえ、永遠に。


これからどうなるのかなあ。
正直言えば、嫁としてはかなり歯切れが悪いのだ。
せいいっぱいやったんだよ、ね。
でも、やっぱり歯切れが悪いのだ。
それではどうすればよかったのかな。
いや、この先、どうすればいいのかな。
うまくいけば…ではなくて、うまくいかないとき、
おかあさんはどうするんだろう。ドキドキしながら、考えている。