風とけものと友人たち

風とけものと友人たち

風とけものと友人たち


 >コルフ島のようなところで五年間の楽しい少年時代を送れば、そして家族をはじめ親類や友人たちがどれもあれほどの変り者ならば、本を三冊書くくらいの材料は充分に残るとダレルは言う
と「訳者のあとがき」に書かれています。
コルフ島でのダレル家の日々は、一巻からずっと、喜びと輝きが衰えることがない。
ない、どころか、ますます磨きがかかっているかも。


門戸の大きく開かれたダレル家は、お客様が絶えません。
それは、末っ子のジェリーのコレクションである鳥や爬虫類、虫たちであったり、
(主に)長男ラリーが招待した個性的すぎる友人たちであったり、
家族同様のつきあいをしている人々・・・
それに、彼らが語るおかしな物語なども、お客様に数えてもいいかも。
インドでのキャンプの物語や、クラレンスキーさんの「ご婦人」が出てくる物語なども。
ああ、それから音楽も。(かの船長の歌うとんでもないのも含む)


母ダレル夫人の人柄によるのですが、彼女は、この家そのものなのだなあ、と思います。
豊かすぎるこの環境(七章の暑すぎる夏の「贈り物」は怖ろしい・・・こういうのも「豊かさ」のうちですね)と、
この受け入れいの広いお母さんのもとで育つ子ども時代。
どんなに羨んでも足りないくらい。
わたしもこの家のお客になって、ダレル夫人に歓迎してもらえたら、どんなに幸せだろう。


これでとうとうおしまいだ。
あわせて、今年の夏も終わっていくなあ、と少しさびしい。


でも、この本の最終章のタイトルは「パーティに終りなし」
ダレル家のパーティはたけなわ。
そのまま終わっていくのが嬉しいです。
気のおけない(そんなことあるもんか、あのメンバーですから)家族・友人たちの笑い声がまだ続いているような気がするから。