オンネリとアンネリのおうち

オンネリとアンネリのおうちオンネリとアンネリのおうち
マリヤッタ・クレンニエミ
渡部翠 訳
プチグラパブリッシング
★★★★★

仲良しの女の子オンネリとアンネリは、夏休みのある日「正直なひろいぬしさんにさしあげます。」と書かれた、大金の入ったふうとうを拾います。
そのお金で、ふたりは、二人だけで暮らす可愛いおうちを買うのです。


こんなうまい話絶対ありませんって。・・・そう思ったら、このお話の世界には絶対入ってはいけません。
こんなおうちに住みたいな、大好きなあの子と住みたいな、
可愛いカーテンのかかったリビングや、小さくてきれいなキッチン、おいしいものがつまったおしゃれな食器棚、
お庭にはこんな花が植わっていて、小さな川が流れていて、おとなりさんにはこんな人がいたらいいな・・・
そんな夢が一つずつひとつずつ、お話の中で叶っていくうれしさ、
そして、どきどきする冒険も。


物語の世界と、子どもの「ごっこあそび」はよく似ています。
そのときだけは「ほんもの」だったのだなあ、と思いだします。
あっというまに、もうひとつの「ほんもの」の世界にすうっと行ったり、こちらに戻ってきたりできたんだから、嘗てのわたしもすごい子どもだったと思うのです。
もう天才じゃないかしら。


これは、幸福な子ども時代があったことを思い出させてくれて、また幸福にしてくれる、お話です。
挿絵がまた、爽やかで、とっても美しいです。