お皿のボタン

お皿のボタン
たかどのほうこ
偕成社
★★★


高橋さん家のたんすの上には、ボタンの入ったお皿があります。
とれてしまったボタンが、また洋服につけられるときまでの一時置き場として、このお皿に入ります。
色も形もばらばらのボタンたちは、このお皿に入るまでに、いろいろなドラマを持っています。
どのボタンたちも、自分たちの思い出を楽しそうに、誇らかに、語ります。

なぞの黒岩ジョーの話のオチには笑えたし、
一番好きなのは、楽しい思い出がたっぷりつまった幸せなうぐいすばあさん。
〈黒いわジョーもうぐいすばあさんも、ボタンの名前です。^^)

楽しい〜。
我が家にも取れたボタンの一時保管所(?)あります。
そうそう、それぞれのドラマ。
誰のどの洋服についていたのか、そのボタンのついた洋服で、何処へ行き、何をしたのか。そのころ、我が家はどんな状態だったんだろう。
小さなボタンからいろいろなことを思い出すけど、
ボタン本人(?)はそういうことをどう思っていたんでしょうね。
身に着けている本人さえ知らないドラマをこっそり楽しんでいたかもしれないんだよね。
ああ〜。いろいろな物語が見えてきそう♪

ボタンといえば、思い出すお話があります。
ローラ・インガルス・ワイルダーの本〈どの巻だったか忘れましたが)の一場面。
クリスマスが近づいて、かあさんが、妹のキャリーに首飾りを作ってあげたらどうか、と言って、ローラとメアリーに、ボタンの箱をくれたこと。
いろいろなボタンを糸に通してネックレスに仕立てるのです。
きれいなボタンを見たとき、それから、こっそりと二人で作業を続けるとき、ローラとメアリーのわくわくした気持ちが伝わってきて、わたしにはとても印象的な場面でした。

それからもうひとつは、「がまくんとかえるくん」シリーズの「ふたりはともだち」に入っている「なくしたぼたん」のお話。
最後にがまくんが、かえるくんに拾ってもらったばらばらなボタンを全部上着に縫い付けるところが好きです。

ボタンのお話ってなんでこんなにほこっとうれしいんだろう。
それも、ばらばらのぼたんのお話が。

この本を読み終えたら、次は自分の手持ちのボタンの物語を考えたくなります。かわいいボタンたちの。