『ミス・ビアンカ シリーズ6 南極の冒険 』 マージェリー・シャープ

ついにミス・ビアンカとバーナードが、囚人友の会を引退する日が来ました。このかわいいファンタジーの主人公たちは、さっさと年をとり、バーナードなど、小太りして白髪まじりになっていました。
で、その引退式の最中に「くらやみ城の冒険」で共に詩人を救出した仲間ニルスが久々にやってきます。
なんと、彼らの救出した詩人が、南極に学術調査に行った折、たったひとり、南極に取り残されてしまったというのです。
何故に詩人が南極に学術調査に?という疑問は置いといて…ミス・ビアンカとバーナードは南極へ、詩人を救出に向かいます。
今までの冒険と違って、展開の迅速なこと。
あれよあれよという間に詩人は恙無く救出されます。(物語の最初のわずか4分の1ほどで解決です。)
あっけないじゃない、と心配することなかれ。詩人は救出されるのですが、どっこい、ミス・ビアンカとバーナードが南極に取り残されてしまった。ではないか。

南極で出会う動物たちが楽しいです。
北極熊の親子。ここは南極だよっ。…彼らは、アザラシさんとの交換訪問で、北極から泳いで南極まで出向いて来たのでした。
この北極熊の家庭、立派なものです。子熊は、古今東西の昔話を実にたくさん、おかあさんから聞いて育っているのです。
なのに、子熊が目の前の「妖精」の話をしたとき、見もせず、「ぼうやの想像のお話」だと思ってしまうお母さん、ちょっと頭でっかちだなあと、密かに心配です。

アデリーペンギンたちが、囚人友の会の支部、「ペンギン友の会」に入会します。
バーナードが掛け声をかけます。
>「囚人友の会の会員になりたい方は、右のひれ足をあげてください。」

お話の展開は…うーん、これは。
今までも、あわやというところで、思わぬ方向から助っ人が現れて…という展開が多かったのですが、そして、それがおもしろかったのですが、今回は、ちょっとねえ、あまりにも都合よすぎません?
あの地震のあたりからちょっと興ざめしてしまいました。好きなシリーズなのに、さびしかったです。